大学4年間、何かに打ち込みたい。そんなことを思いつつも、新たなスポーツを始めることにハードルを感じている人も少なくないはずだ。そんな新入生を積極的に呼び込んでいるのが、慶大體育會洋弓部である。比較的少数精鋭で、全国の舞台にも挑んでいる體育會だ。今回、洋弓部の副将本山さん(理工新4年)と、笠井さん(商新3年)に話を聞いた。

洋弓とは何か

さて、そもそも洋弓とはどのようなスポーツなのだろうか。
アーチェリーという名でも親しまれる洋弓は、的から50~70メートル離れた場所から弓を弾き、大体CDほどの大きさといわれる、的の中央を狙って矢を放つ。放った矢が、「真ん中へいった!」という感覚を覚えた直後、矢が真っ直ぐに的の中央を射抜くと、なんともいえない爽快感を得られると、副将本山さんは言う。かなり繊細な競技であり、弓をぶらさずに弾くために安定した力強さも要する。引く力で男女差が生まれることはあるが、競技形態自体は老若男女で基本的に変わることはなく、みなが楽しめるスポーツだ。

プレッシャーに強くなる

アーチェリーにおいて大切なのが、集中力と強いメンタルだ。「アーチェリーを始めたことで以前よりプレッシャーに強くなった」と2人は語る。
アーチェリーの試合は休憩時間も含め数時間に及ぶこともあるため、その長い時間、集中力を保たなくてはならない。また、日本の弓術と違いアーチェリーは屋外競技である。多少の風雨があっても実施されるため、環境の違いに惑わされず、柔軟に対応し自分の持ちうる実力を発揮する力も必要だ。

體育會洋弓部について

體育會洋弓部は歴史のある體育會で、新入生の代で66代になる。OB・OGとのつながりはもちろん、少人数であるからこそ同期や先輩・後輩での関わりも深く、非常にアットホームな雰囲気が魅力だ。活動場所の蝮谷の射場との往復路も、同期や後輩・先輩関係なく、みんなで仲良く話しながら向かうという。
今回の取材時も、後輩・笠井さんと先輩・本山さんが親しそうに言葉を交わし、笑いあう様子が印象的であった。

また、「洋弓部はプライベートな時間が楽しめる」と笠井さんは話す。練習は全力で取り組み、体調管理やある程度の食事管理、そして必要不可欠な連絡は日常的に行われるが、プライベートな活動に対し強い拘束はないという。「朝練に参加したら、授業後はバイトに行ったり、別の活動をしたりすることも個人の自由」とのこと。ちなみに留学などの短・長期の離脱は幹部や監督の方々と相談をすることになるそうである。

活動について(活動概要)

新型コロナウイルス流行前は、平日3日間の朝練に加え、土曜・日曜の週5日、日吉蝮谷の射場で練習があった。コロナ禍では、感染対策でシフト制での練習に変更したため、現在は自分のペースで練習に打ち込むことができる。設備は十分に整っているため、通年で同じ場所で練習に集中できるのも體育會洋弓部の魅力である。
現在部員は男子21人、女子10人。さまざまな学部の学生が所属している。試合は男女別れて実施されることもあり、基本的に男子チームと女子チームでそれぞれの目標を立てて練習をする。しかし、もともと少人数な団体であり、さらにコロナ禍で射場が男子と女子で大きく時間を区別されることのない方式にシフトしたため、男女での交流も多く部全体としてのまとまりも強いという。
例年8月から9月の夏合宿、2月の春合宿があり、長期休みを活用して実力をつけていく。

醍醐味は選手と応援が一体になれること

毎年、體育會洋弓部は全国の王座を決める王座決定戦に出場する。アーチェリーは競技人口が少ない。全国の舞台で闘うことも夢ではない。
自分自身の成長を感じる場面が多い点も、アーチェリーの魅力だという。「アーチェリーは個人で闘うスポーツ。頑張った分だけ点数になって返ってくる」と笠井さんは話す。点数で成長を実感できるからこそ、自分の努力を信じることができるようになったそうだ。

オリンピックなどの世界規模の大会では、アーチェリーの試合は静寂の中行われる。一方で、大学でのアーチェリーの試合は応援席からの声だしが許可されており、とても賑やかだ。応援する声は選手に届き、選手と応援サイドが一体になれるのは、大学洋弓の醍醐味であるそうだ。団体競技の色が垣間見える。慶應の一員として応援の声を出し、また、選手としてそれを背負って矢に魂を込める。皆で上を目指し一致団結する洋弓部は、個人競技と団体競技の2つの面を持つ、熱く力強い集団といえるだろう。

興味のある方々へ

體育會洋弓部ではインスタグラムツイッターが頻繁に更新されている。併せてHP(ホームページ)をチェックすれば、大体の情報が得られる。
SNSでのDM等でコンタクトをとれば、射場での体験も個別に対応・実施しているという。「ハードルを感じず、まずは、いろんな人に体験に来てほしい」と笠井さん。

最後に

「大学4年間、何かに打ち込みたい。そう考えている新入生はぜひ来てもらいたい」と本山さんは語る。縦も横も繋がりが強く、アットホームな洋弓部。興味のある方は、一度洋弓部の活動をSNSでチェックし、まずは体験にいくことを勧めたい。

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