いよいよ始まる新学期。「これから一人暮らしを始めるけれど、毎日のごはんを作るの大変だな」、こんな悩みを抱えている新入生も多いのではないだろうか。また、今年も去年と変わらず新型コロナウイルスの影響で外食ができず、自炊をせざるをえないという人もいるだろう。そこで大学生協事業連合東4地区FS事業部の管理栄養士、高橋亮子さんに自炊生活の始め方について話を聞いた。
栄養バランスの乱れた食生活による悪影響
まず、栄養バランスの乱れた食生活をすると高血圧や糖尿病といった生活習慣病になりやすくなってしまうと高橋さんは話す。また、過度の節約による栄養失調や、逆に最近ではオンライン授業に伴う運動不足によって肥満になる学生も多い。これらは貧血や便秘、目に必要な栄養素の不足による視力低下も引き起こす。このように栄養バランスの乱れた食生活を送ると多くの悪影響が起きるため、バランスの整った食生活は健康な大学生活を送るうえで非常に重要なことである。
自炊をするメリット
自炊をするメリットとしては主に「自分が好きなときに自分好みの味付けで食べられること」、「経済的であること」、「規則正しい生活リズムができること」、「食の自立ができること」が挙げられる。特に食の自立に関して、高橋さんは「学生時代だけでなくその後の人生においても調理や買い物などの生活に必要なスキルは必要なため、自炊で身につけた力は自立の第一歩になる」と話す。
自炊の始め方
では、実際にどうやって自炊をすれば良いのだろうか。まず、料理をする前段階として最低限包丁、ざる、ボウル、フライパン、まな板、食器をそろえると良い。他のものは必要になったらその都度買い足すことを勧める。次に、料理を考えるときには赤・緑・黄の食品を定められた点数に沿って使うようにすると栄養バランスが整う(図1参照)。
しかし、一日で完璧にこれらを充足することは難しいため、一週間でこの目安の量が満たされれば良いという。食事を組み立てるときにはパンやごはんなどの主食、肉や魚が使われたメインのおかずの主菜、ビタミンやミネラルがとれる副菜、余力があれば汁物を意識して作るようにする。簡単に一皿にしたい場合には卵も野菜も入れたスープを加えると主菜も副菜も兼ねたものを作ることができる。昼食で外食したり持ち帰ったりするときには定食スタイルのものや丼ものなどを選び、サラダや汁物を付け足すと栄養バランスが整う。夕食を組み立てる際には一日のバランスを考え、朝と昼に食べていないものを取り入れるようにすると好ましい。
そして、食材を選ぶときに注意してほしいこととして高橋さんは鮮度を挙げる。鮮度が良いものは長持ちするため、お米であれば精米された日が新しいものを選ぶなど細かなことにも気を配ることが大切だと話す。また、原材料や⾷品添加物、栄養価などが記載された⾷品の表⽰も時には見てほしいという。
食材を保存するときには、野菜や⾁は使う分だけ冷蔵にし、残りは⼩分けにして冷凍しておくようにすると無駄を省くことができる。最後に、調理をする際は食中毒を防ぐために清潔な調理器具を使うことが重要である。
自炊生活の続け方
自炊を継続できるかどうか不安という人は料理のレパートリーを増やしたり、調味料を変えたりすると良いだろう。また、毎日完璧にしようとせず、ご飯だけ炊く日や外食の日を作るなど負担を少なくすることも継続するためには欠かせないと高橋さんは話す。
簡単レシピ
最後に高橋さんにフライパン一つで簡単にできる料理を教えてもらった。
全国大学生活協同組合連合会ホームページ「自炊のすすめ」(こちら)ではこの他にも簡単においしく作れる料理のレシピがとりあげられているのでぜひ参考にしてみてほしい。
(石田 真理子)