アナウンサーという仕事の魅力
テレビに実名と顔を出すという職業柄、観ている視聴者からのリアクションをダイレクトに受けるアナウンサー。現場で出会った人や取材した人、視聴者からの温かいコメントは、大きな励みになるという。「僕の伝えたかったことが伝わっているんだなと実感できて嬉しいし、やりがいを感じる瞬間でもあります」
そして、物事を自分の言葉で伝えられるということがアナウンサーの最大の魅力だと一橋さんは力強く語る。
「最終的に僕の小さな言葉遣いや表情で物事が伝わっていく。AIではなく人間が伝える意味はそこにあるのでしょう。そういう意味では、自分の言葉で何かを伝えられるというのがアナウンサーの一番の魅力だと思います」
「好きなことを好きなだけ」大学生という時間
一橋さんには、慶大時代の経験が今に生きていることがある。それはゼミ活動だ。論文作成を通じて一つのものを作っていくことの面白さを実感したという。「みんなで意見を交わしながら一つのものを書いていく経験というのは、今の番組作りにつながっている部分が少なからずあります」
「一橋さんにとって大学生とはどういう時間か」と筆者が聞くと、一橋さんは少し間をおいて、次のように答えた。「深いことを考えず、そのときやりたいことをやっていた時間だったと思うし、今思えばそれが良かった」
自分の好きなものは何だろうと探せるのが大学生という時間だと語る一橋さん。自身の学生生活をふまえて、現役慶大生へ次のようにエールを送る。
「学生のときはあまり先のことを考えていないと思う。裏を返せばそれは何にでもなれる可能性があるということ。職に就くことが人生のゴールではないため、自分の可能性に蓋をしないことが大切だと思います」
NHKアナウンサーとして日々活躍する一橋さんも、かつては「等身大の慶大生」として学生生活を送っていた。新入生のみなさんは、4年間キャンパスで自分の可能性を探してみてはいかがだろうか。
【プロフィール】
一橋忠之(いちはし・ただゆき)
東京出身、慶大経済学部卒業。1999年入局。東京アナウンス室勤務を経て、この春から福岡放送局勤務。サタデースポーツ・サンデースポーツ・ニュースウオッチ9など、主にスポーツ報道を中心に担当。
(水口侑)