慶大は3月3日、2021年度春学期の授業について、新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、オンキャンパスでの対面授業を増やし、オンライン授業と併用する形式で実施すると発表した。そこで、2020年度のコロナ禍における授業の総括や2021年度の授業形態の展望について、慶大三田学生部に話を聞いた。

 

コロナ禍における授業

2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、慶大では春学期は全面的にオンライン授業が実施され、秋学期はオンライン授業を継続しつつ、一部の授業は対面で実施された。

「コロナ禍でやむなくオンライン授業を行うことになったが、オンライン授業であっても、その中身やレベルによっては想像以上に学習効果が高まることがわかった」と三田学生部の担当者は振り返る。

一方で、春学期は対面形式でないと学習効果が上がらない授業もオンラインで実施されてしまうデメリットもあった。このことを受けて、秋学期は、ゼミや少人数で実施される演習科目、一部の実験・実習科目について、感染症対策を徹底した上で優先的に対面での授業を実施したという。

「一年間を通して、科目の性質やレベル、目標としている達成度によってどのような授業形態が望ましいか判断する材料が集まりつつある」と2021年度を見据えて三田学生部の担当者は語る。

 

2021年度の授業形態

2021年度春学期の授業は、2020年度秋学期と同様に、対面授業とオンライン授業を併用する形式で実施する。2020年度秋学期は、対面授業は一部の科目に限られたが、2021年度春学期は、対面授業の科目を増やす意向だ。

対面授業の数を増やす上での具体的な工夫として、大教室では定員を教室の半分にするなど、履修者をしぼって対面授業を実施することが挙げられる。そのため、希望者が多い科目は抽選を実施することが例年より増える可能性があると三田学生部の担当者は話す。

 

訂正:上記表「申告期間」のうち、秋学期 9月27日~29日(1次)でした。お詫びして訂正いたします。

履修の大きな変更点

従来、慶大では一部の学科・研究科を除き、4月に1年分の履修申告をしていたが、2021年度から春学期の科目は4月、秋学期の科目は9月に履修申告するように変更になる。かつ、4月の履修申告の日程が例年よりかなり早まる。

このような変更の背景として、学生の学習計画の変更に円滑に対応することが挙げられる。「春学期に履修した内容を踏まえて、秋学期に新たに学びたい分野を選択することが可能になるため、学習効果の向上が期待される」と三田学生部の担当者は話す。

 

慶大は通学制の大学

慶大は通信教育課程を除き、通学が前提の大学であるが、そもそも通学制の大学は全授業をオンラインで受けた場合には卒業できないと文部科学省が決めている。文部科学省の大学設置基準は「メディアを利用して行う授業」を卒業に必要な単位数のうち60単位までしか認めないとしている。

昨年度と今年度は文部科学省により例外措置が取られたが、2022年度以降の方針は未定であるため注意が必要だ。慶大は文部科学省の意向を見極めつつ、2022年度以降の授業形態等を検討する準備を進めている。

 

三田学生部から塾生へのメッセージ

三田学生部は慶大が通学制の大学であることを強調した上で、塾生に次のようにメッセージを送る。

「授業内容や教育効果に応じた授業形態の検討を進めていきたいと考えているが、ぜひキャンパスに来て仲間と過ごす時間も増やしてほしい。オンライン授業は教育効果がある程度は認められることが分かったが、通学することによって仲間と過ごす時間が増え、そこで得られるものもある。大学は学問を修めるだけではなく、その他の課外活動で得られるものもたくさんある。大学に来て、学習以外でも仲間と触れ合う時間を大切にしてほしい」

 

(大平莉緒)