Global Workshopの体験
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Global Workshopは、日本時間の12月10日から12月13日まで4日間開催された。今年はコペンハーゲンで開催される予定だったが、コロナ対策のため全てオンライン上で開かれた。1日目と2日目には各国の代表者や審査員、Red Bull社員とのコミュニケーションをとる時間がとられ、加えてプレゼンのピッチトレーニングやそのほかさまざまなワークショップがあった。3日目にはクオリファイアーと呼ばれる予選がありLive配信でプレゼンをする。4日目に予選を通過した上位10チームが事前録画したプレゼンを発表し、優勝者が決まった。
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袴谷さんのチームは、最終的にスマホを声で充電するというアイデアを発表した。予選は通過したものの、優勝には至らなかった。2020年のグローバルウィナーは家庭用排水の再生利用を洗濯機に組み合わせたアイデアを発表したUKのLava Aqua Xというチームだった。
袴谷さんは今年のグローバルウィナーに対して「同じ大学生ながら、既に市場でも実際に売れそうな商品を作ってきていて凄いと思いました」と語る。
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この体験を経て
そもそも応募したきっかけは、自分のアイデアの考え方や思いの伝え方が正しいか確かめたかったからだそうだ。小さな頃からクリエイティブなことを考えるのは好きだったが、大人や誰かに評価される機会や具体的にアウトプットする機会はなかったという。「学生ごときが何もできないだろう、という一種の諦めみたいなものがあった」と袴谷さんは言う。
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しかしこのRed Bull Basementの体験を経て得たものが二つあるという。
「一つは本気でやれば世界は変えられそうだという熱い気持ちです。一人では無理だという気持ちは変わらないですが、学生であろうと強い思いをもった人が集まれば世界は変えられるんじゃないかと思いました。
そして二つ目はその熱い気持ちとクリエイティビティを持つ世界各国の同世代とコネクションを持てたことです。各国のアイデア同士、親和性の高そうなものもいくつかあったので、このまま密なコミュニケーションを維持していけば、何か凄いことができるんじゃないかと思いました」と袴谷さんは熱意をもって語る。
今年の春までは三田キャンパス付近の「知るカフェ」でバイトしていたという袴谷さん。好きなものはエンジニアやラグビー。現在は卒論製作中だという。同世代の大学生たちにメッセージはないかと聞くと、袴谷さんは「僕はやらずに諦めて無駄にしてしまったことが沢山あったと思います。でも今回やってみたら意外にできました。だからやってみたいことがあるならやってみてほしいです」と少しはにかみながら話してくれた。
世界規模でのコミュニケーションの機会とアイデアの試行錯誤の積み重ねなど、Red Bull Basementでしかできない体験が、若者たちを未来へと後押しする。「翼をさずける」で知られるRed Bullが、今年、塾生にも翼をさずけたようだった。
(田上 広乃)