日常生活で、周囲の人と選挙や政治について話す機会は多くない。選挙権を獲得して間もない大学1年生の中には、選挙に対して不安や疑問を持っている人もいるはずだ。そこで、塾生新聞会で2年生による対談を行い、同世代の先輩方のリアルな声を聞いた。
経済学部のAさん、文学部のBさん、法学部のCさん、理工学部のDさんの計4名で、選挙や政治について自由に語ってもらった。
――この取材に先立ち、選挙全般についての事前アンケートを1年生に行い、投票の経験がある15名、経験のない15名の計30名から回答をもらいました。
1年生は政策の内容を重視する人が圧倒的に多く、次いで政策の実現性や政党を重視する人が多かったです。直近では東京都知事選に行かれたと思いますが、先輩方は選挙の際、どのようなところをご覧になって、投票に行かれますか。
A:今回はコロナを意識しなければいけないというのがあったね。政策も見たんだけどそれ以上に、都の政治と都民の意思がずれてはいけないと思っていて。コロナに対する政策に混乱が生じて、政策が遅れたらいけないし。
C:確かに今回は特殊ではあったよね。都知事が変わることで方針転換したら、都政も私たちも混乱する可能性もある。いろんなメディア見てて、個人のリーダーシップには限界があることも感じたから、迷いどころだったかも。
B:2人が言っていたように今回の都知事選は特殊だったと思うの。普通だったら公約を一番に見るけど、今回は現状として小池さんがコロナ対応をしていて、それに対して、対策に不満があれば下ろす、なければそのままっていう感じ。勝手に小池さんのジャッジだと思ってた。
D:自分はそこまで考えてなくて、若い候補の方が自分たちと考え方が近いかなと思うから、若い人を選ぶようにしている。そのぐらいしか考えていない。
B:そういう考え方は初めて聞いたわ。私は政見放送をよく見るのだけど、今回の都知事選ではどうなのって思うものもあって。自分たちが置かれている状況とその候補たちが置かれている状況は違うから、若い人でも異なった価値観や意見を持ってる人が多かったと思うの。
特に私たちは慶應に入ってて、大学も通えているじゃない。でもそうじゃない人もいて、その中から立候補した人もいるわけで、若い人だからといって意見が近いとは思わないんだよね。もちろん、Dさんみたいに自分なりの選び方があるのはいいことだと思うよ。
――今回の都知事選は特殊だったということもあるので、昨年の参院選など、そのほかの選挙の際に、一貫してご覧になるポイントはありますか。
C:参院選は難しいイメージがあるな。候補者個人まで情報収集が追い付かないし、どこを基準に選んだらいいか、いまいちわからない。
都知事選は選んだ人が知事になるからわかりやすいけど、間接選挙、特に参院選だとその人を選んだからってどういう風に政治が変わるか、イメージしにくいんだよね。
だから政党で選んじゃったりする。その時の政党の全体方針とか、内部分裂していないかとか。ニュースとかで普段から見聞きしていることを総合的に判断して、って言ったら聞こえはいいけど。吟味して選んでいるかと問われるとちょっと違うかな。
B:それわかるな。権利があるし、私たちは選挙に行けと言われてる世代だから一生懸命行くのよね。でも投票する瞬間までに、十分な情報を持って、適切な判断をして選べているか不安はある。
A:たしかに。衆議院選は見たことある人がちらほらいて、その人のある程度意見の軸が見えてくる場合もあると思うけど、参院選は大体が知らない人だから、そこらへんはかなり難しかったな。
もちろん判断に迷ったら政党で選ぶけど、判断材料を自分で納得するまで集められたってときは、意見がころころ変わらない人のほうがいいのかなって思ってる。
D:自分は教育に力入れてくれそうな人に投票する。子育てをしている家庭への補助金だったり、家庭で負担する教育費自体の軽減だったり、教育の内容自体の改良だったり、そういうことを優先度高く扱っている公約の人を選んでいるな。
B:あと、それだけで決めてるとは言わないけど、女性は注目して見ちゃうな。自分が女性っていうのもあると思うけど、女性で一生懸命意見している人がいたら見たいなって。
A:自分は筋が通っている人は公約とかを読み終わったときに、納得感があったから選びたくなるかな。