8月から始まった今年の夏季休業は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「異例の夏」となった。そんな夏を、慶大生はどう過ごし、何を思ったのだろうか。慶應塾生新聞会に所属する会員にアンケート調査を実施し、その過ごし方やコロナの影響について探った。

(※本会メンバー131人を対象とし、うち回答が得られた54人のデータをもとに作成)

まず、夏季休業中の外出について問うと、「旅行や帰省のみを控えた」「日常的な外出のみを控えた」「いずれも控えた」が合わせて85%を超え、やはり外出を控える傾向が非常に強かった。(図1)

最も時間を費やしたことを聞くと、「アルバイト」が35.2%で最多だった。(図2)

予定のない日にしていたことについては、複数回答式で「ネットやゲーム」が57.4%、「TV視聴や映画鑑賞」が55.6%、「勉強」が33.3%という結果に。(図3)

また、勉強時間についての質問では、1日あたりの平均勉強時間は「ほぼしていない/全くしていない」と「1時間未満」という回答が合わせて68.5%だったことから、予定のない日でも、勉強に多くの時間を割いた人は少なかったことが分かる。(図4)

図2
図3
図4

コロナの影響について複数回答式で問うと、「外出の機会が減った」が68.5%、「旅行や帰省を取りやめた」が53.7%、「予定がなくなった」が46.3%で、やはり外出に関して大きな影響があった。(図5)

一方で、「新たに始めた勉強や趣味がある」という回答が31.5%にのぼったほか、自由記述欄には「家族との時間が増えた(2年)」「オンライン化で行動の選択肢が増えた(3年)」という回答もあり、コロナ禍の状況を前向きに捉えている人も一定数いた。

図5

夏季休業の感想については、「とても楽しかった」あるいは「まあまあ楽しかった」という回答が75.9%を占めた。意外な結果ではあったが、この状況下でも夏季休業を楽しむことができた人は多かったと思われる。(図6)

図6

最後に、この夏季休業中に抱いた思いを聞いた。複数回答式で、「家族や友人と会いたい・遊びたい」が75.9%、「どこかに出かけたい」が64.8%、「早くキャンパスに行きたい」が53.7%、「1人の時間が多くて寂しい」が16.7%など、多くの人が誰かとのかかわりや外出の機会を望んでいることが分かった。その一方で、「オンライン授業が継続してもいい」という回答も38.9%にのぼり、日常の回復とオンライン授業の利便性というジレンマに陥っている人も少なくないようだ。(図7)

図7

このほか自由記述欄には、「行動する意欲がなくなった(3年)」「生きている実感がない(1年)」「日常を返して(3年)」「小中高や社会人のしわ寄せが大学生に来ている(4年)」「人との直接のかかわり合いの重要性を感じられた(2年)」といった回答も寄せられた。

調査の結果、コロナ禍での今年の夏季休業は、外出の機会が減ったことでネットやゲームに多くの時間を割く傾向が見られた。全体的には、家族や友人との交流、旅行や帰省の機会を失い、思い通りにならない夏季休業を過ごした人が多かったようだ。

今後もコロナの影響下での学生生活は続くと思われるが、私たちに必要なのは、「できないこと」ではなく、「できること」を模索する姿勢ではないだろうか。

 

(小山田佑平)