来る6月20日の「世界難民の日」に向けて、難民支援協会では人々に問題意識を持ってもらえるよう、さまざまな活動を行っている。嶋田幹大さん(経2)も活動に取り組む一人だ。

そもそも難民問題の現状はどのようであり、解決のために私たちには何が求められているのか。社会問題に真摯に向き合う塾生の活動、そしてそこに根差す思いを聞いた。

日本における難民問題

「難民」とは、人種、宗教、国籍、政治的意見、所属する社会集団を理由に迫害を受け、他国へ逃げざるを得なかった人々のことを指す。世界には2018年時点で7080万人の難民がおり、今この瞬間も2秒に1人が難民になっているという。

国際社会では、難民を生み出している国の周辺国に負担が偏っている現状から、各国に応分の責任の分担を求める機運が高まっている。

しかしながら日本で難民支援を行う際にはいくつかの障害や問題点が存在する。そのうちの一つに、難民として保護を受けるための「難民認定」が日本では極端に少ない点が挙げられる。実際、昨年には1万375人が申請をした一方、保護を受ける認定が下りたのはたったの44人だったそうだ。

こうした問題を解決するのに大きな役割を果たしているのが、認定NPO法人 難民支援協会(JAR)である。

難民支援協会(JAR)のロゴマーク

支援内容と目指す社会

JARでは、難民への生活・法的・就労支援などの直接的支援を行うほか、難民が集住する地域への働きかけや政府への政策的提言、SNSでの情報発信などの広報活動を行っている。注目すべき点は、後者の支援方法だ。なぜ直接的支援だけでは成り立たないのだろうか。

JARでインターンとして働く嶋田さんは、「日本では『難民』という言葉が『ネット難民』などの自己責任的な文脈で用いられ、誤った解釈を生んでいる。また彼らへのネガティブなイメージや日本人の無関心さがこの問題に拍車を掛けている」と話す。

また彼はこうした印象を払拭し、難民問題への認知度を高めることの重要性を指摘する。そのために広報部として、難民に関する「より広く、正確な」ニュースを発信し続けているという。「難民とは、迫害によって自身のアイデンティティーを奪われた存在。より多くの人に現状を正しく知ってもらい、彼らへの偏見を少しでもなくせたら」と語った。




塾生へのメッセージ

 

「難民問題を人ごと ではなく、より身近な『自分ごと』に感じてほしい。そのために『まず知ること』 が第一歩。知った上で難民問題への自分なりの意見を持つことが大切ではないか」

社会問題解決のために、明確な目的と強いパッションをもって活動に取り組む塾生を紹介した。

グローバル化が進み世界中で結び付きが強まる中で、私たちには相互扶助の姿勢が求められている。世界の出来事、難民問題はもはや対岸の火事ではない。「世界難民の日」を好機として難民問題を考え直すのはいかがだろうか。

 

(南部亜紀)