新型コロナウイルスの影響で再注目されているサブスクリプションサービス(以下、サブスク)。実は、映画や音楽などの無形サービスを配信するだけがサブスクとは限らない。洋服など、形あるサービスを提供するサブスクも存在する。今回はその中でも、バッグのサブスクというサービス、Laxusを運営するラクサス・テクノロジーズ株式会社代表の児玉昇司さんに話を聞いた。
Laxusについて
Laxusは月額6800円で好きなバッグをレンタルできるサービスだ。シャネルやルイ・ヴィトンなど57種類のブランドショップが揃っている。アプリで気に入ったものを選べば、後日そのバッグが配送箱に入って届く。返却時はその箱に入れて送り返せばいい。配送箱は、借りている期間インテリアとして部屋に飾って置けるような、おしゃれなデザインだ。利用者の年齢層は主に20代から50代。月に数回程度バッグを交換する人もいれば、数カ月に1回交換する人もいるという。
Laxusはこのサービスで国内利用率シェア1位を獲得した。その強みについて児玉さんは、「バッグを揃えて貸すという外側から見てもわかる部分よりも、オペレーションなど中身の部分が他のサービスに真似できない点だと思う」と話す。
サブスク市場
今後もさらに市場は拡大すると予想されるサブスクリプションサービスだが、どのように変化していくかについて聞いた。児玉さんによれば、サブスクが向いているものはそのようなサービス形式に置き換わっていくが、すべての商品がサブスク市場に参入するわけではないそうだ。児玉さんは「単なる分割払いだったり、事実上の値引きなどの『なんちゃってサブスク』は消えていくだろう」という。
環境保全への取り組み
Laxusは、環境保全にも取り組んでいる。2015年の起業当初から、廃棄物の増加や環境破壊をもたらす製品の過剰生産に対して問題提起をしてきた。テクノロジーの進化と共に可能になったバッグのシェアリングサービスLaxusは、消費型の古い社会から循環型の新しい社会へ導く画期的なビジネスモデルなのだという。
児玉さんは「私たちの使命、志は、ブランドファッションのシェアリングサービスを通じて『かっこよく美しく、持続可能な社会をつくる』こと」と語った。
またLaxusはサービスのあり方だけでなく、社員の働き方においても環境保全に取り組んでいる。森ビル主催の省エネコンテストではラクサス・テクノロジーズ社の東京オフィスが1位を受賞した。エネルギーを無駄にしない取り組みとして、残業をゼロにしたことで電気代が節約できたそうだ。
今後の展望
社員全員が心がけているのはエシカル(倫理的)な生き方。今後、学生向けのサービスやバッグ以外のサブスクなども考えている。またグローバル展開も見据え、世界各国、各都市で準備を進めているという。
大量消費型社会から循環型社会を目指し登場した、バッグのサブスク。音楽や動画配信といったサブスクとは趣旨が異なる。このタイプのサブスクが環境保全の一つの手段として、社会に定着する日も近いのかもしれない。
(たがみ ひろの)