密林の如く多様な飲食店が割拠する町、日吉。「チキンオーバーライス」が名物の店があることをご存じだろうか。それは「Vendor×Kitchen 日吉店」だ。日吉駅から中央通りを直進し、信号で右折すると右手に見える。チキンオーバーライスとは、その名の通り米飯の上に鶏肉をのせる料理だ。ニューヨークの屋台が取り入れたことで親しまれるようになった。
お話を伺った村田洋佑氏は「たまに食べたくなる味が強みだ」と語る。日本の学生にとってあまりなじみ深いものではないかもしれないが、日吉において何物にも代え難い料理だろう。オリジナルのスパイスに1日漬け込んだ鶏肉を、細かく切りながら焼くのが魅力だ。全て自作でこだわり抜かれたソースが、香ばしい鶏肉や爽やかな野菜の風味と見事に調和し、心地よいスパイシーな味となる。初めて食べる方へのおすすめメニューは、「スタンダード」。これにチェダーチーズとアボカドが加わったものが看板メニューの「ベンダー」だ。「ベンダー」を食べると、鶏肉の香ばしさに、チーズのまろやかさと、アボカドの濃厚さが合わさった重厚な味わいが楽しめる。
1号店は東神奈川で、より人通りの多い日吉に約10年前に出店した。プレハブのような建物からのスタートだったが、確かな味とボリュームによって現在も支持され続けている。大盛りが無料であるのも学生の胃と財布に優しい。
ニューヨークをイメージした、レトロで異国情緒を感じる内装は、お洒落な塾生にも馴染みやすい雰囲気だ。元気の良い挨拶を徹底しているそうで、店内は明るい声が絶えない。
空きコマにお腹を満たすも良し。お洒落な放課後を過ごすも良し。辛さを求めて休日に訪れるも良し。いずれにせよ「たまに」では済まないほど食べたくなること請け合いである。テイクアウトもあるので、日吉にいるなら一度は「Vendor×Kitchen 」のコクと刺激に浸ってみるのも一興だ。
(伊藤文一)
※取材は2020年2月に行いました。