「落語」という日本の伝統芸能に対してどのようなイメージを抱いているだろうか。真剣または和やかという印象を受けるだろうか。そのような二面性を持ったサークルが、落語研究会である。
落語研究会は、記録が不明瞭ではあるが、60~70年ほど前に設立されたことが確認されている。25人ほどの規模、男女比はほぼ1:1で、近年は女性の入サー希望者が増加している。毎週水曜日に活動しており、基本的には全員参加が要求され、高校におけるクラスや部活のような深い関係が築けるということが特徴の一つでもある。
活動内容
普段の活動はネタの練習や、1年による上級生の前での披露、上級生による批評といったネタの精度を上げるべく精進する活動を行っている。練習の様子は笑うところでは和やかな雰囲気となるが、一方で聞き手側を意識した批評で真剣な雰囲気となる。部員の切り替えの上手さが見受けられた。
慶應の落語研究会は、身内や知り合いにだけみせるのではなく、「外の一般客」を重視しているのが特色である。外部での公演は、小学校や老人ホーム、さらには地域の祭りいった場に赴いて行われている。基本的にはこれらは口コミによる、「人の輪」を通じて広がった評判の結果、様々な団体から依頼されたうえで行われている。
落語研究会は三田祭に対しても積極的なサークルの1つで、一番の目標に三田祭を掲げている。三田祭においては落語以外に、コントや漫才、大喜利といったほかの芸も披露している。
プロの噺家と同様に、慶應の落語研究会もそれぞれの部員に芸名がつけられている。1年のオリエンテーションの段階ではあだ名のような前座名をつけ、三田祭における襲名披露会で、初代メンバーの芸名を引き継いでいくという形式をとっている。
会員の声
代表である14代目乱痴さんは落語をやることの魅力として、客の反応が直で自分一人に返ってくることを挙げている。笑いが取れないときは本当に辛いが、それだけに、笑いが取れた時は練習による成長を感じ、大きな喜びを感じるそうだ。さらに、客を笑わせるために自分がどのようなスタイルをとるのか、自分にしかできない笑いとは何であるのかを考えるのも面白味の1つであるという。
先輩の前で練習ネタを披露していた1年の大聖堂(ノートルダム)さんは入部した動機として、日本文化に通じたサークルに入りたかったことと、落語への好感度が高く、笑いに対する探求心が深かったことを挙げている。部員として半年落語を続けた感想として、苦しい時もあるが、笑いが取れ、方向性に自分で納得できた時は爽快感が高いという。
このように、落語研究会は笑いを通じて自己修練を行う、歴史と信頼の厚いサークルだ、今後の活躍から目が離せない。
※この取材は2019年11月に行われたものです。
(若松 現)