5G(第5世代移動通信システム)は、一般の企業でも仕事をより効率的にするために活用される。

その中でローカル5Gが、近い将来、世界で初めて日本で運用される。

そのローカル5Gの概要をこの分野に関して取り組みを行っている富士通株式会社に聞いた。

ローカル5Gの概要

一般に、5Gというと多くの人が想像するのが携帯キャリアなどで活用されているものだろう。

これは、国内で4社が提供する一般大衆向けのサービスで、日本全体を広くカバーすることができる。

それに対しローカル5Gは、それぞれの建物や土地単位ごとに使用エリアが割り振られる比較的小規模な自営のネットワークである。

つまり、独自の通信網を限られた範囲内だけに作り、それを活用するというものなのだ。

所有する土地があれば利用できるため、多くの企業や自治体が参入可能なシステムである。

また、5Gの普及には時間がかかるため、すぐには利用できない地域も出てくる。

そこで、そのような地域に拠点を置く企業は、ローカル5Gを導入すればキャリアの5Gが届くのを待たずに利用することができる。

ローカル5Gの特徴

大きな特徴は三つある。

一つは、柔軟な通信エリアづくりである。個別に運用できるため、キャリアの5Gでは対応が難しい個々の企業のニーズに沿った環境の構築ができる。

二つ目は、自分の敷地内でしか利用できないため、その通信環境を占有できることだ。これにより、安定的な通信環境が確保できる。

三つ目は、安全性が高いという点である。利用には、免許やローカル5G用のSIMカードが必要であるため、他からの干渉が少ない。

各企業がローカル5Gを導入するには

先述のようにローカル5Gを利用したい企業は免許を申請する必要がある。

その後、仮交付、電波が届く範囲の調整を経て正式に免許が交付される。

そして、その免許の申請が昨年の12月24日から始まった。

今回は、28・2~28・3ギガヘルツ帯を利用するものであるが、今後、他の28ギガヘルツ帯やサブ6帯の利用も始まる予定である。

その際には、それぞれの周波数帯の特徴に応じて各企業がどちらを用いるべきかという判断をするようになるのではないか。

ローカル5Gの活用法

慶大でのローカル5Gの活用法として、同じキャンパス内の異なる建屋間で無線を飛ばすことにより、

4Kや8Kの高画質での遠隔授業を行うことが可能になる。

また、授業で使用するような容量の大きな高精細画像は各々の端末にたくさん保存するよりも、

ローカルエリア内のサーバーにまとめて保存し、必要に応じて端末に画像を伝送するほうが効率的である。

ローカル5Gが目指すもの

今回の取材の中で、担当者は、

ローカル5Gは国の規制が緩和される形で制度化された。今までできなかった社会課題の解決、それを支える技術の一つになっていくと考えている

と語った。

左から山口智史さん、森大樹さん、堀越泰郎さん

(一柳道徳)