慶大で性犯罪や性暴力事案が相次ぐ中、塾生有志による団体「Safe Campus Keio」が、セクシャル・ハラスメントを防ぐための改革を大学当局に求める署名を集めている。
Safe Campus Keioとは
昨年だけでもアメフト部と應援指導部の不適切行為、理工学部元教員による下着窃盗事件と、慶大では複数の性犯罪事案が発生し、各メディアで報じられている。
2018年には、当時経済学部2年の学生が性的暴行の罪で逮捕された。
今年に入ってからも、三田キャンパス内のトイレにカメラを仕掛け盗撮をしたとして、1月に大学職員が逮捕されている。
このような性犯罪が繰り返される現状を改善すべく行われているのが、 Safe Campus Keioが現在取り組んでいる活動だ。
2度目の署名活動、大学に求める3つのこと
「慶大で性犯罪や性暴力が多発している現状を身近に感じるとともに、大学の対策があまりに不十分であることに危機感を抱きました」
署名を始めたきっかけについて、活動の中心となっている佐久川姫奈さん(総3)は語る。
昨年6月に別のメンバーが性犯罪への対策を求める署名活動をしていたが、そこでは満足のいく結果が得られず、2度目の署名活動に踏み切った形だ。
今回の署名は、次の三つのことを大学側に求めている。
全サークル・学生団体の会則に性暴力防止の条文を設けること、性暴力防止の授業を必修科目に含めること、そして性暴力防止のガイダンスを全学部で行うことだ。
現在、飲酒などに関しては入学時にガイダンスが実施され、何かトラブルがあった際は注意喚起をするなど大学側も啓発に取り組んでいるが、性暴力についてはそのような取り組みはほとんどなされていない。
「人命にかかわる飲酒なら大学はすぐ動きますが、性暴力についてはなかなか動きません。表沙汰になっていないだけで人が亡くなることがある点では同じなのに」と佐久川さん。
性暴力についての知識不足
これらのことを求めるのは「学生から変わる」ためだという。
「最近の性犯罪事件をネタとして扱う風潮があったり、自分がハラスメントをしていると分かっていても自己正当化してしまったりと、慶大生は全体的にハラスメントに関する認識が甘いと思います」
と、同じく署名に携わる谷虹陽さん(文4)は話す。
その背景には圧倒的な知識不足があると2人は考える。
今の日本の初等教育や中等教育では、性に関する話題はタブー視されがちだ。そのため学生は何がハラスメントや性暴力にあたるのか分からないまま大学に入学してしまう。
今回の署名で提言されているのは、そのような中で学生が性暴力に関する知識をつけるための対策だ。
「ジェンダーに関係なく、だれにとっても性暴力は問題。人間である以上だれしもが性や性暴力に関する知識をつける必要があります」と2人は話す。
署名はSafe Campus Keioホームページ(http://safecampuskeio-keiosayno.mystrikingly.com/)からできる。締め切りは3月23日。
(髙木瞳)