2020年、日本国民だけでなく、世界各国の人々が注目する東京2020オリンピック・パラリンピックがついに開催される。
野球・ソフトボール、サッカーの競技開催自治体であり、英国代表チームの事前キャンプ地に決定している横浜市。そこで、大会の成功に向けて活動する、横浜市市民局オリンピック・パラリンピック推進課を取材した。

マラソンの開催地が札幌に変更されたように、日本の夏は選手だけでなく来訪客にとってもかなりの暑さだ。暑さへの対策としては、給水スポットの設置などを行い、交通混雑緩和対策としては、オフピーク通勤(時差出勤)の呼びかけを検討している。
横浜市ならではの「おもてなし」として、市内2か所(新市庁舎と横浜文化体育館)でのライブサイトの開催がある。観戦チケットを持っていない人にもオリンピック・パラリンピックを楽しんでもらうために、無料で誰でも大型スクリーンでライブ中継を観戦できるようになっている。また、横浜にちなんだ出展をし、国内外の人々に横浜ならではの雰囲気を楽しんでもらいたいと言う。
一方、東京2020大会を契機に、横浜市は共生社会の実現を目指す。現在、市立学校から30校指定されているオリパラ教育推進校に向けた普及啓発プログラムの提供を行っている。具体的には、推進校の子どもたちを連れて、パラスポーツの観戦等をしている。「次世代を担う子どもたちが「どうすれば誰もが居心地よく過ごせるか」を考えるきっかけづくりを提供し、『心のバリアフリー』を広げていきたい」と担当者は話す。

そして、英国代表チームの事前キャンプ地として、英国選手が練習の成果や実力を最大限発揮できるように万全の準備をしていきたいと話す。2019年7月には韓国で行われた世界水泳に向けて、横浜国際プールで英国水泳代表チームがプレ事前キャンプを行った。その際の運営サポートや語学支援の経験を活かし、本番に向けて準備を進めている。また、横浜市は英国のほか7カ国のホストタウンにも登録されており、そうした国々へのおもてなしも実施していく。
それでは、これらの取り組みから、後世にどのようなレガシーを遺したいのか。活動した多くのボランティアの方が、大会後も引き続きボランティア活動に参加できるよう、情報提供などの環境を整え、ボランティア文化の醸成・定着につなげたい。また、異文化交流やパラスポーツの普及を通じた共生社会の実現、そしてメディアで発信される機会を活用し、世界に向けた横浜市のシティプロモーションを目指したいと話す。
約半年後に迫った東京2020大会。横浜市は、ソフト面・ハード面でどのような功績を伝えていくことができるのか。オリンピック競技や事前キャンプ・ホストタウンなど、大会の成功に向けてさまざまな活動をする横浜市の今後に期待したい。
(林ことみ)