近年、動物がドラマやCM、映画に出演するケースが多くある。彼らの存在がその作品に人気が出るきっかけとなることも少なくない。今回、「初めて恋をした日に読む話」「Y!mobile」のCMに出演したペットタレントが所属するズージャパン株式会社で主にプロダクション業務を担当している北村まゆみさんに話を聞いた。

元々ズージャパンは、動物に関する幅広い仕事を行っていた。しかし、撮影の依頼が多くなったことから、プロダクション部署を立ち上げたのだという。

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所属するタレントには、会社が直接管理する動物と、飼い主が登録する動物がいる。その中から、見た目や性格、能力を考慮した上で、依頼に合った動物を起用するそうだ。

動物を撮影する際困難は複数ある。まず動物は当然、人間のように会話することができない。「仕事として応えられなければ迷惑をかけるので、できること、できないことは事前に伝えるようにしています。動物の撮影は、張ることだけではなく諦めることも大事で、妥協案を提案することもあります」と北村さんは話す。

また、トレーナーと動物との信頼関係を重視しているが、あまりにも絆が強すぎるとトレーナーに依存し、演技をすることができない。そのため、誰が扱っても演技ができるように、色々なスタッフが関わるようにしているという。

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動物への影響について聞くと、北村さんは次のように話した。「ストレスは当然かかると思うが、それに負けないメンタルを動物たちも持っているはず。例えば、犬はストレスを楽しめ、仕事に行きたがる傾向にある。守ってあげることだけが、動物を可愛がるということではないと思います。動物の様子や、ストレスを感じた時に出る行動をもとにケアをしてあげることが、私たちの仕事です」

プロダクションの仕事をする上で一番大事にしていることは、動物たちが健康な状態で撮影に臨むための管理だそうだ。スタッフは全員生体飼育の経験を積んでいるので、動物の様子を見て素早く適切な判断ができる。そのことが、多くのオファーにつながっているのではないかと話す。北村さんは、「動物から学ぶことも多く、彼らには人を変える力がある。その手伝いができる仕事です」と語る。

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動物には、動物にしかない魅力がある。彼らが出演するには、トレーナーや飼い主の愛、動物との信頼関係が必要不可欠なのである。

(中西美結)