多様性取材班の発足をお知らせいたします。
発足の経緯
発足のきっかけは、連載企画ソボクナギモン第4回。その取材で、事故防止のために、エスカレーターの左右両側乗りが推奨されるようになってきているという話を聞きました。
エスカレーターの両側乗りは浸透しているとは決していえない。しかし、徐々に支持されてきているのは、多様性が支持される時代になり、体の不自由な人に人々が目を向けるようになったからだ。バブル期の頃は効率が最優先で、こうした人々は社会から追いやられていたのだ、と。
時代は少しずつ確実に変化しています。普段気づくことのない時代の価値観が、知らないうちに自分たちの生活に反映されている。時代を覆う価値観が人々の行動に大きく影響しているのだ、と強く実感した瞬間でした。
しかし、多様性が支持されるようになった時代といわれるものの、実現にはまだまだ困難があるように感じます。マジョリティとマイノリティに大別されたとき、そこに意図がなくても、マイノリティの声がかき消されてしまうことはあると思います。彼らに対する圧力は決して看過されてはいけない。ですが、「多様性が今尊重されるべきだと知ってはいるけど理解できない」マジョリティの気持ちを置いていくようなことがあってはいけないと思います。
では、自分とは異なる価値観を持つ人と共生していくには、どうしたら良いのだろう?
身近に存在するマイノリティの思想や生活を、紙面を通して塾生に伝えていくことで、両者の対話に、少しでも貢献する記事を書きたい。こうして、多様性取材班が発足しました。
目的と活動
多様性取材班では、マイノリティの存在が身近に感じられるような、かつ、マジョリティ・マイノリティの両者の気持ちに負担にならないような記事作りを目指します。その内容はスポーツ、音楽など、読者にとって面白い・楽しい内容を扱いたいと思っています。
人はそれぞれ異なる環境で育まれたバイアスを少なからず持っています。しかしその個人のバイアスはその人の「当たり前」であり、日頃自分のバイアスを意識することはほとんどありません。多様性取材班では、過去の記事を分析し、自分の意見の発信や他者の意見への傾聴を積極的に行い、自らのバイアスを認識する機会を設けています。
そして班員は自分のバイアスを客観視することで、取材と執筆の姿勢をもう一度見つめ直します。記事に特定のバイアスが現れることがないように、中立性・公平性をより意識した記事作りをします。
(多様性取材班 班長 金子茉莉佳)