今夏、シンガーソングライターのさだまさしさんが、特別招聘教授に就任。慶大SFCで特設科目「うたをつくる」を3日間集中で開講した。3日間の講義で慶大生に対して、どのようなことを伝えたのか聞いた。

 

講師就任のきかっけ

今回の授業開講のきっかけは、慶大特別招聘講師を務めるゴスペラーズ・北山陽一さんからの話だった。作詞や作曲歌唱をする上でのテクニックではなく、もっと根本的な話をしてくれと頼まれた。さださんはそれを快諾した。

 

「うたをつくる」とは

「うたをつくる」という授業は、さださんいわく人生の哲学の授業に近かったそう。「作詞、作曲、歌唱をするということは違う競技を全部いっぺんにするということ。それを一つにし自分の世界として表現しなければならない。とても難しいことだし、一朝一夕にできることではない」

その上でさださんは受講生にこう伝えたという。「これから人生長いんだから、とりあえず一曲作ってみればいいじゃない。それを孫に聞かせて、それを口ずさんでくれたらそれは最高の作詞家であり、作曲家であり、シンガーだよね。だからとりあえず一曲書いてみよう」

さださんは受講生に「お祭り」というテーマを与えた。受講生は自作した曲を自分で歌い、さださんはその曲にコメントをする形で授業を進めた。「『つまらないので聞かないで下さい』という人や歌う前に泣き出してしまう子もいた。だけど、自分が思うことを伝えるということが大事だと伝えました」

 

生徒と共に学ぶ

最後に、さださんは授業をこう振り返った。「人に教えるということは、一緒に考え、一緒に学ぶこと。そして、生徒に寄り添いながら生徒はどうしたいのか一生懸命に考えて、一緒に探るのが先生。だけど、無理やり引っ張り上げてはだめだということを生徒と共に学べました」

 

(浜中智己)

 

【プロフィール】

写真:株式会社まさし提供

さだまさし

長崎市出身。シンガー・ソングライター、小説家。1973年、フォークデュオ・グレープとしてデビュー。1976年にはソロ・シンガーとして活動を開始した。
「関白宣言」「北の国から」など数々のヒット曲を生み出している。通算4300回を越えるコンサートのかたわら、小説家としても「解夏」「風に立つライオン」などを発表。多くの作品が映画化、テレビドラマ化されている。