新たな商品を企画せよ

学生団体「KING実行委員会」主催による「学生のためのビジネスコンテストKING2009」が8月30日から9月6日にかけて国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催された。
このコンテストでは「学生からビジネス界にアクションを」をコンセプトに多数の応募者から選抜された120人が初対面の6人ずつのグループに分かれ、7泊8日間かけてビジネスプランの策定に励む。
「KING」のメンバーは東大を中心に主に早慶上智、一橋の学生で構成されている。コンテストは1996年から毎年夏に開催されており、学生が運営するものとしては日本最大級。「KING」メンバーは1年かけて準備に取り組む。
今年のビジネスプランのケーステーマは「新たな日用品の企画販売戦略を立案せよ」。このテーマをもとに各グループが約1週間かけてプランを策定し、予選を勝ち抜いた4チームが最終日に決勝プレゼンテーションを行った。
決勝に進んだグループの企画した商品は、どれも実際に販売されている日用品にはないような画期的なものであった。それでいて、その商品をほかと差別化するだけではなく、綿密な流通戦略などもプランに練り込まれていて非常に本格的なプレゼンテーションとなっていた。
その一方で、質疑応答の場面では「本当にこの収益が見込めるのか」「消費者のニーズの傾向に、その商品は一致しているのか」など、実際に社会で活躍されている審査員の方々の鋭い指摘に苦しんでいる姿もみられた。
優勝したのは商品名「Sunveil」を発案したチーム「odysseus」。
「Sunveil」とはストッキングやソックスに吹きかけることで保温効果を持たせるスプレーのこと。ターゲットをOLに絞り、冬の寒さや冷え性から女性を守ることを目的としている。
この商品の強みである利便性やファッション性に加えて、より具体的な広告戦略などが評価されて見事栄冠を勝ち取った。

社会へ一歩踏み出す糧に

慶應義塾大学の吉田未来さん(文2)は、「学生のうちから経済に関わるきっかけを作りたい」とコンテストに参加した。彼女はマーケティングに関する知識はほとんどなかったため、ギリギリまで迷っていたそうだが、自分から行動しないと何も始まらないと思い、応募を決意した。
「毎日、2~3時間の睡眠でグループの仲間とともにプランを作成した時間は本当に充実していた。このコンテストを通じて、感覚的なアイディアだけではヒット商品は生まれないのだと痛感した」
実行委員会の広報局長である戸田祥太さん(法2)は、このコンテストの狙いについて、「コンテストを通じて、ビジネスへの関心だけでなく、グループワークや、困難を乗り越え目標を達成する経験をしていただき、社会へ一歩踏み出す際の自信を勝ち得て欲しい」と話す。
また、田中文崇さん(経3)も広報局員として活動してきた。「幾度もの議論と、1年間もの準備作業を通し、自分たちにとって妥協のない最高のコンテストを創り上げることができた」と今年のコンテストの完成度の高さをうかがわせた。
現代社会の激烈な市場競争のなかで消費者のニーズを捉えるヒット商品を生むには、独創的な発想だけを追い求めるのではなく、そのアイディアを商品化させるためのロジックを積み重ねていかなければならない。  「KINGビジネスコンテスト」はそうしたスキルを磨き上げる絶好の場となっている。
(横山太一)