慶應のつながりは「財産」
貴島さんにとって、大学時代は「財産」だという。「おっさんずラブ」シリーズの脚本を手掛ける徳尾さんとの出会いも「慶應」というつながりがきっかけだ。また、大学時代に所属していた「創像工房 in front of.」という演劇サークルでは、舞台に携わる様々な役割を経験し、4年次には脚本・演出を担当するなど、学生生活のほとんどを費やしたという。
「大学の中で自分の好きなことを一生懸命やりきればいいんじゃないかと私は思います。悔いのない大学生活を楽しんでいただけたらと。大人になってからも慶應生というコミュニティがきっかけで、仕事相手と距離が近づいたりすることもあります。困ったときに頼れる先輩も、きっと社会にいっぱいいるので安心して大学時代を楽しんで」
劇場版で描きたいこと
映画化が決まって、ドラマの続きをやるか、連続ドラマで詳しく描かれなかった視聴者にとっての空白の1年を描くか、はたまた戦国時代に時空を変更したパラレルワールドに挑むのか、様々な案をゼロから考えて話し合ったという。その結果、続編を作ろうということになった。
「私の中では、春田は牧のことを好きだって気づいて告白しただけ。男女でもそうだけれど、恋愛は付き合ってからが大変じゃないですか。私自身が20代後半で、仕事も頑張りたいし、恋愛も頑張りたい。大人になってぶつかる壁をちゃんと描きつつ、映画なので少しスケールアップもして、子供から大人まで楽しめるエンタメ作品に作れたらいいなと思って挑みました」
映画のテーマは「夢と家族」。連続ドラマのテーマ「人を好きになるってどういうことなのか」というテーマに挑みながら、「大人になってからもう一回思い直して目指す夢」にも焦点を当てたかったそうだ。「今社会人になったら…という夢を見て頑張っている学生さんはもちろん。その後社会人経験を積んで、いつの間にか忙殺されて “なんで仕事しているんだっけ?”と若い時に描いていた夢を忘れてしまった大人たちにもそういう気持ちを思い出してもらえる映画にしたかった」と話す。
男性同士の恋愛という面に注目されがちだが、爆笑コメディや王道恋愛ドラマとしても見どころは十二分だ。「ぜひ食わず嫌いせず、大切な人と観てほしい。デートムービーにも使ってほしいです。是非おっさんずラブを観て、結婚とかしてほしい!」と笑顔で話す。
「劇場版おっさんずラブ~LOVE or DEAD~」をきっかけに、忘れかけていた夢や大切な人への想いに改めて気づく人もいるだろう。この夏は「おっさんずラブ」を観て、あなたの「夢と家族」について考えてみてはいかがだろうか。
(塚原千智)