メディアセンターが9月をもってシステムを刷新する。
新システムについて、メディアセンター所長の須田伸一教授と、三田メディアセンター課長の保坂睦さんに話を聞いた。
メディアセンターの刷新自体はおよそ10年に1度の間隔で行っている。外部環境は時間とともに大きく変化し、技術は旧来のものだと陳腐してしまうため、この間隔で更新する必要がある。
主な変更点は、世界中の機関で導入されているクラウド型システムを導入し、世界中の学術情報の検索を可能にした点だ。
また、早大のものと合わせて約1000万冊の蔵書を検索できるようになる。旧サーバーシステムは慶大の内部にあったが、新システムはクラウドシステムを使用している。
この新システムはイスラエルにあるEx Libris(エックス・リブリス)社が開発した、Alma(アルマ)、Primo VE(プリモ・ヴィイー)を採用している。
今の図書館の傾向として、インターネットのように各人と情報を共有するコンソーシアムという共同運用網を作り、他の機関と蔵書の情報をやりとりすることが挙げられる。採用した二つのソフトはコンソーシアムを作りやすいという特徴がある。
このEx Libris社のシステムを採用したのは日本では慶大・早大が初めてで、大学間の共同連用コンソーシアム形成も国内初である。
検索システムについて、今までは慶大の蔵書のみに限られていたが、移行後は早慶の蔵書や世界中の学術情報が対象となる。そのため、以前に比べてより細かい単位で記事、論文などの検索が可能になるという。
Ex Libris社のシステムを慶大は2010年からすでに使用しているため、今回の導入も比較的容易であるとみられていた。
しかし、今回のシステムと従来のシステムの設計思想が根本的に異なっていることから、今までのデータをいかにして新システムに移行し、運用させるかという点が難所であったという。
提携先に早大が選ばれた理由は三つある。
1点目は、図書館の規模が同じであったことだ。規模に差があると大きい図書館に飲み込まれてしまうが、規模が等しいと両者にメリットがある。
2点目は、早大の図書館と繋がりが強いことだ。1986年から相互利用協定があり、双方の学生は学生証があれば双方の図書館に入れる。図書館員らの親交もあり、情報の融通が利く。
3点目は、図書に関する出版年や著者等のデータ(目録)の作り方がほぼ同じだったことだ。このデータの作り方には様々な形式があるが、他大学は日本式であるのに対し、早慶は共にアメリカ式(世界基準)であった。
9月前半に刷新を行う理由は、大学業務上、新学期の始まる4月は多忙で、9月後半も同様であるためだ。刷新においては一度図書館の利用を止める必要があるため、利用者の少ない夏季休暇中で、早大側の都合と合わせて9月初めにしたという。
8月後半は一部の図書館サービスが利用できないことため注意が必要である。KOSMOSのMY Libraryで自分の借りた本の履歴を閲覧できるが、新システム移行後は8月までのデータが削除される。メディアセンターは前もってのダウンロードを推奨している。
刷新によりますます便利になるメディアセンター。卒業後は使えなくなるので塾生諸君は今のうちに積極的に利用しておきたい。