AI技術の発展により、研究が進歩したり日常生活が便利になったりしている。他方で、AIが発達し、人間の知性を越えることで人間の生活に大きな影響を及ぼすという「シンギュラリティ」が懸念されている。
将来、私たちはAIに取って代わられるのだろうか。
株式会社Spectee(スペクティ)の代表取締役CEOである村上建治郎さんに、現在AIがどのようなものに利用されているのか、将来のAIと人間の関係性はどうなるのかについて、話を聞いた。
今年4月、「めざましテレビ」の天気コーナーにて、AIを活用した服装情報が放送された。
この情報は、その日着ていく服装を決める目安となる。AIは街を歩いている人を天気カメラで画像解析し、人々がどのような服装をしているか判定する。対象者までの距離が遠い場合も判定可能である。衣料品売り場の入り口にこの技術を用いたカメラを設置すれば、マーケティングにもつなげられるそうだ。
また、「荒木ゆい」というAIアナウンサーも登場した。様々な人間のアナウンサーの声を機械学習したAIが、本物のアナウンサーのように正確な発音で、滑らかに原稿を読むのだ。
「深夜に起こった地震の速報のような緊急性を要するニュースを伝える場合は、人間に代わってAIアナウンサーが活用されるだろう」と村上さんは言う。泊まり込みをするアナウンサーがいなくなる点で、AIが人間の働き方を改革してくれるかもしれない。
学校教育のAI化も起こり得る。単に「教える」のみであればAIに任せることが可能である。それにより、高校教諭はクラスの運営や事務に集中できる、大学教授は研究に専念できる等のメリットがある。
大量のデータを正確に分析し、そのデータをもとに物事を判断するのがAIの特徴である。一方、全体の文脈の中で総合的に物事を理解し、適切に判断できるのが人間である。
村上さんは、「この先、99%成功する選択肢と1%成功する選択肢とがあれば、AIは前者を選び、人間はその1%に賭けることがある」と、AIと人間の特徴を明確に表現した。
AIは、過去のデータから「1%」を選ばない。しかし、その1%が大きな発見につながるかもしれない。過去のデータに基づけば決して選択しないようなものを選べるのが、人間なのだ。
最後に「ベンチャーのような会社だと、入社してすぐに即戦力としてさまざまな経験を身につけられます。ぜひ、そういう企業にも挑戦していただきたいです」とベンチャー企業の醍醐味を語った。
人間だからこそできることに挑戦しようではないか。
(桐原龍哉)