近年、電子書籍のCMをよく目にするようになった。本の未来はどうなっていくのだろうか。電子書籍配信サービスを行っている株式会社BookLive代表取締役社長の淡野正氏に話を聞いた。

 

BookLiveは電子書籍の中でも特に漫画を多く取り扱っている。

その理由は、ガラケー全盛期に占いやゲームなど様々なデジタルコンテンツを配信する中で、漫画の需要があったためだという。携帯電話における通信量の定額制や、スマートフォンをはじめとする画面が大きいモバイル端末の普及と共に発展していった。

 

紙の本と電子書籍のこれからについて聞くと、「紙の本がなくなることはないだろう」と淡野氏。モノならではの五感で感じられる刺激、書き込みやすさ、屋外での文字の見やすさなど、紙媒体ならではの優れている点があるからだ。

一方、発売後すぐにネット上で購入できることや保管場所がいらないこと、出版社の在庫リスクがなく、消費者も安く買えることなどは、電子書籍ならではの強みだ。

 

淡野氏は「これらのメリットや、本屋が減っている現状から、今後紙の本が占める割合は小さくなるだろう」と語る。

 

また、電子書籍のさらなる普及により起こりうる社会的変化を三つ挙げた。まず、教育面での変化だ。電子端末を導入すれば、情報の共有と検索が簡単になり、映像により臨場感を味わえ、さらに翻訳技術を用いて原書を読めるようになるという。

二つ目は、より多くの人に門戸が開かれるようになることである。例えば電子端末には、字を拡大したり、文字を読み上げたりする機能がある。それによって、目が悪い人や不自由な人もより簡単に本を読むことができる。

また、従来より作品を発表することや作品に触れることが容易になるという。

 

塾生新聞の読者に向けて淡野氏は「今後世の中が進化していくにつれて、新しいサービスや文化が出てくると思う。電子書籍も、通信や端末の進化の中で生まれたサービス。そういったことを意識しながら電子書籍を読んでもらえればと思う。そして、読むならぜひBookLiveを利用してもらいたい」と語り、笑顔を見せた。

 

(中西美結)