塾生の和田太郎さん(文2)は、東京六大学ピアノ連盟の第25代理事を務めている。この連盟は、慶大・上智大・東大・明大・立教大・早大のピアノサークルからなる団体である。

 

 

ピアノを始めたきっかけ

福井県出身の和田さんは4歳のとき、アニメ『トムとジェリー』シリーズに登場する、猫のトムがピアノを弾く姿に夢中になったという。鮮やかに指を動かすトムに影響を受け、自身もピアノを弾くようになった。

 

「ピアノはよく、1台でオーケストラを表現できるといわれます」と教えてくれた。ピアノという楽器の魅力は、まるで自分がオーケストラの指揮者であるかのように音楽を作れることだと語る。

 

高校時代は、忙しさゆえにピアノから離れてしまうこともあった。しかし、自らの思いを音楽を通して誰かに伝えたいという気持ちが消えることはなかった。その強い気持ちが、練習を続ける原動力になったそうだ。そのため、大勢の人の前で演奏することは幸せだという。

 

今年の2月24日には、連盟の他のメンバーと共に、イタリアのミラノで公演した。本番で披露する曲をどのように表現すべきかを悩んだが、普段とは違う場所で弾くことによって、開放感を得られたそうだ。演奏は自身の納得のいくものとなり、良い刺激になった。

 

和田さんには、多趣味な一面がある。ルービックキューブやジャグリング、タップダンスにも挑戦したという。今は、ワグネル・ソサィエティー男声合唱団にも所属している。多様な音楽が自分を成長させると信じているそう。今後もピアノと合唱を両立させたいという。

 

 

音楽教育への想い

また、一番関心があるのは、音楽教育についてであると明かした。通っていた音楽教室が取り入れていた、「コダーイ・メソッド」に感銘を受けたという。ハンガリー出身の作曲家コダーイ・ゾルターンが研究した、母国のわらべ歌を使って子どもたちの音楽的能力を向上させるという教育法だ。西洋音楽に偏らず、母国の音楽にも親しんでもらいたい。それを実現させるには、教育を変えるべきだと語った。

 

最後に、読者へのメッセージをもらった。「東京六大学ピアノ連盟で活動することで、音楽系の大学に通っていなくても、ピアノを身近に楽しめる機会を得られています。皆さんにも音楽を身近に感じて、楽しんでほしいです」と笑顔を見せた。

 

最近は、YouTubeにも自分が演奏する動画を上げているという和田さん。今後の彼の活躍が楽しみだ。

 

(村瀬巧)