「スタンドを含めて全員で感動を共有できるチームにしたい」
そう力強く語ったのは、今季より野球部の主将を務める郡司裕也選手(環4)だ。
昨年秋、優勝がかかった早慶戦で惜しくも負けた時、1年生がスタンドで涙を流しているのを見て、いいチームだと強く感じたという。前主将の河合大樹選手が作り上げた強固なチーム力を受け継ぎ、全員がチームに貢献できる環境を作りたいと話す。
郡司選手は仙台育英高校出身で、甲子園で準優勝を果たした経験を持つ。昨年春から四番を打ち、打率2割8分7厘、打点40をマーク。鋭い強打の捕手として注目されている。
慶大野球部は、一昨年の秋と昨年の春に優勝した。昨年の秋は惜しくも早慶戦で優勝を逃すも、優勝に絡むシーズンを送っている。郡司選手は、「『自分たちは弱い』という自覚の中で練習できていることが大きい」と好調の要因を分析する。
一つのミスが負けにつながるチームで、失点を取り返す攻撃力もない。だからこそ全員が細かいミスを減らしていくという意識を持って練習しているという。「早稲田に連勝して優勝」が今年のチームの目標である。他大学よりスタートが1カ月ほど遅い分、今は朝から晩まで体を動かし、野球漬けの毎日を過ごしているそうだ。
そんな慶大野球部に、甲子園で活躍した強力な新1年生が入部する。投手に塾高の生井惇己選手、ノーヒットノーラン寸前までいった彦根東の増居翔太選手などだ。
郡司選手は彼らの印象について「堂々として、落ち着いている」と語る。新1年生も既に練習に参加しており、郡司選手も捕手として彼らの球を受けている。「先輩投手と遜色ない。試合に出てどうなるかはわからないが、期待している」
3連覇がかかった前シーズンは、かなり期待して応援していた人も多かっただろう。惜しくもその夢は逃してしまったが、まだ諦めてはいない。あの悔しさをバネにさらに強くなった野球部から目が離せない。
「僕は3連覇とまではいけないですが、後輩たちにつないでいけるように3連覇を目指していくので、応援よろしくお願いします」
(常石萌恵)