受験期が近づくと、応援する人からがんばる受験生に贈られる合格祈願お菓子。各メーカーが、さまざまな形で工夫を凝らした商品を販売する。
その中でも定番となっているのが、ネスレ日本株式会社の「キットカッ ト」だ。今回の受験シーズンでは、“いい予感〟 のする「伊予柑味」や、めでたい「紅白」パックを販売している。

そこで、キットカットのキャンペーンについて、コンフェクショナ リー事業本部・マーケティング部部長の竹内雄二さんに話を聞いた。

 

「きっと勝つ」誕生のきっかけ

商品が誕生したのは 今から約 20 年前のこと。 九州地方で地域の方言「きっと勝っとお」が「キットカット」の語感に似ているという噂が広まった。それが、口コミで全国に拡大し、商品が誕生したのだという。このように、消費者の口コミを参考にして商品化が進むのは、稀なパターンである。

 

コラボレーションパートナーの誕生

2 0 0 3年には新たな試みが始まる。コラボ レーションパートナーの誕生だ。受験生を応援したいと考えるのは、交通 機関やホテルなども同じだったのだ。

今年で 17年目を迎える「他企業とのコラボ企画」は、毎年キットカッ ト側が共に「受験生を応援したい」と考える企業を選ぶところからはじま る。これまで、商店街やアーティスト、神社、郵便局など、いろいろなパートナーと共に受験生をサポートしてきた。

その中でもすっかりお なじみとなっているのは、試験日前日にホテルに宿泊する受験生へ、キットカットを贈る取り組みである。現在は全国およそ 5 0 0 のホテルで配布されている。

 

新たな試み

受験生が試験会場に向かうルートを間違え、平常心を失ってしまうと、 試験に支障が出る。このようなトラブルを防ぐのが、今回の受験シーズンから始まった二つの活動だ。

一つは東京メトロとの コラボ「受験生応援パック」。キットカット 3 枚 と、東京メトロオリジナ ル 24 時間券、キットカッ トオリジナルカイロ1枚 をセットにしたものだ。 験担ぎを兼ねて、試験会 場の下見や当日の移動を サポートしようという思いで製作された。

もう一つは、ヤフーとのコラボ「サクラサクルートナビ」。これは、受験生を全国 9 都市 1 5 0 以上の試験会場まで案内する無料ナビゲーションサービスであ る。 3 月末までスマートフォンから利用することができた。 キットカットが、独自に「合格祈願お菓子市場」を拡大していったのではない。背景には、こうしたコラボパートナーの存在があったのだ。

 

「応援」を第一に

商品を売り出していく中で大切にしたのは、売ろうとする宣伝ではなく、受験生の「応援」を第一にすること。キットカットが受験生の勇気づけやストレスの軽減に役立つよう、受験生や受験生を応援する人たちがどのような気持ちか、どんな応援が力になるのか、 常に考えているという。

キットカットだけでなく、他社メーカーも同様に合格祈願お菓子を販売する。このような市場拡大を、キットカットはポジティブに捉えている。 市場が拡大することで、 コンビニやスーパーに特設コーナーが設けられる。他メーカーと相乗効果で売り出せることは、キットカットとしても「ウェルカム」なのだそうだ。

 

受験生に向けて

キットカットの取り組みは、受験生応援のためのコラボだけでなく、昨年の熊本県での地震、西日本豪雨の復興支援など多岐に渡る。今後は、環境問題や社会問題への取り組みにも挑戦していきたいという。

どんな企画や取り組みにおいても、消費者に寄り添いニーズをくみ取る。そのような姿勢が、キットカットの根強い人気につながっているのだろう。

最後に、キットカットから受験生に向けてメッセージをもらった。

「普段の実力を出し切る、というのはなかなか簡単なことではありません。ただ、受験生の皆さんの頑張った努力は報われると信じております。何かにすがりたいと思った時、キットカットがその力添えになれば幸いです。リラックスして頑張った自分を思い出して試験に臨んでください!」
(柴田美羽子)