慶大アート・センター主催のシンポジウム「ジェネティック・エンジン」が先月17日、三田キャンパス北館ホールで開催された。これは1998年の土方巽アーカイヴ開設に始まり、20年アート・アーカイヴに関する活動を展開してきたアート・センターの周年記念事業としての開催である。
アート・アーカイヴは過去の出来事を蓄積しながら新たな出来事を発生させる、非常に生成的なものであるという前提のもと、本シンポジウムはそれについての問題や今後を考えることを開催趣旨としている。
シンポジウムでは、アート・センター副所長・文学部教授の粂川麻里生氏がアーカイヴ論の現状についてイントロダクションとして語った後、三つのセッションが行われた。セッションは、アート・センター所員が聞き手となり、アーカイヴに携わる専門家とやりとりするという形式がとられた。その後、会場から質問を募集して、登壇者全員で質疑セッションが行われた。
セッションの内容は流動的であったが、演劇などの上演芸術のアーカイヴ構築、アーカイヴとパトロンの存在、アーカイヴの創造的可能性、大学とアーカイヴの関係などについて話し合われた。
その後の特別講演では、東大客員教授の御厨貴氏が登壇予定であったが、体調不良のため映像での出演となった。御厨氏は、自らが専門とするオーラル・ヒストリーについて、アーカイヴの視点を交えつつ語った。
最後に、アート・センター元所長で慶大名誉教授の鷲見洋一氏(すみ・よういち)がアート・アーカイヴ創設期のアート・センターについて語り、シンポジウムは閉幕した。