今年、塾生が大学1年生にして司法試験に合格を果たした。法学部法律学科に所属する栗原連太郎さん(法1)だ。
通常、司法試験を受験するためには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格する必要がある。予備試験は合格率約4%の狭き門だが、栗原さんは史上最年少の18歳6カ月で突破し、続く司法試験でも一発合格を果たした。司法制度改革で2006年から始まった現行司法試験では最年少合格である。
栗原さんが初めて法律に興味を持ったのは、慶應義塾普通部に通っていたころ。視聴していたドラマなどの影響を受けたという。常に自分の身近にあり、生活と密接に関わっている点が興味深かったそうだ。中学3年生の夏に司法試験合格を目指すことを決め、高校入学と同時にWEB講義による学習を開始した。
高校に入学し、平日は帰宅後にWEB講義を受け、週末はその復習に励む日々を送った。周りに流されず、コツコツと学習を進めていくのは決して容易ではなかった。どうしても気持ちが乗らない時は、あえてまったく勉強に手を付けず、その焦りによって自らを奮い立たせることでやる気を取り戻した。月に一度の司法試験予備校の電話相談もモチベーションを維持する支えになったそうだ。毎晩、息抜きにドラマやバラエティ番組などを見ており、時間を効率的に活用した。また、普通部に通っていた時はバンドを組んだり、勉強の傍ら電子音楽などの楽曲制作も行ったりと、栗原さんには音楽通の側面もある。
気持ちを折らせることなく、努力し続けたことが実を結び、高校3年時に予備試験を突破した。この結果は喜ばしい反面、プレッシャーにもなったという。周囲からの期待が大きく、それに応えたい気持ちが不安に変わってしまったからだ。しかし、重圧に屈せず勉強を続け、見事その後の司法試験では一発合格を果たす。現行制度開始以来、最年少での合格という快挙だった。「最初にやろうと思った気持ちを維持したこと、周囲に流されなかったこと」が合格の要因だと栗原さんは語る。
これから司法試験を目指す人へのアドバイスを求めると、「偉そうな言い方になるが、法律は所詮人間が作ったものだから、頑張れば誰にでもできる。やると決めたら最後まで走り抜けてほしい」という答えが返ってきた。そんな彼自身、司法試験に合格して息つく暇もなく、すでに公認会計士の資格取得に向けて動き出している。ただ漫然と日々を過ごすのではなく、常に目標に向かい努力していたいそうだ。将来は公認会計士の資格も生かしつつ、自分次第で幅広い活動ができる弁護士になりたいという。
大きな目標を達成したのにも関わらず、それを鼻にかけることなく謙虚さを持っているが、その目は常に上を向いている。彼のさらなる飛躍に期待せずにはいられない。
(貫洞晴輝)