2‌0‌2‌0年東京パラリンピックの種目に決定した、注目度の高いパラスポーツ、ブラインドサッカー。視覚に障がいを持った選手がプレーできるように考案されたサッカーである。音の鳴るボールを用い、健常者が情報の8割を得ているという視覚を閉じた状態でプレーを行う。

学生団体KEIOフットサルアドベンチャー(KFA)は、老若男女、障害やスポーツ経験の有無にかかわらずサッカーを楽しめるイベントを企画している。KFAの実行委員長を務めている黒瀬春子さん(経4)に、ブラインドサッカーの魅力について話を聞いた。

ブラインドサッカーには、他のパラスポーツと異なる大きな特徴が二つある。一つ目は、障がい者と健常者がともにプレーする点だ。選手はアイマスクを付けてプレーするが、試合の状況を声で伝えるガイド、監督は健常者が務める。GKも健常者または弱視者が担う。黒瀬さん自身も、所属するチームで実際にガイドとして参加している。二つ目は、選手同士の身体的な接触が多い点だ。激しい接触や転倒も、選手にとっては大きな情報になる。選手が自由にピッチを駆け巡るため、観戦すると、その迫力とスピード感に驚くという。

ブラインドサッカーは、「違いを超えたつながりが生まれる」ことが黒瀬さんなりの魅力だという。「普段は周りに気を遣って生活している全盲の人が、ピッチでは健常者からゴールを奪う。高校生から40代の会社員まで、年齢も性別も異なる選手たちがピッチ上を走り回る。様々な環境の人たちが一つのスポーツを楽しむ光景を見て、自分の常識が覆った」

観戦するだけでなく、実際にプレーして楽しむこともできるブラインドサッカー。「自分自身、実際に体験して初めて価値観が変わった。この感覚を他の人にも味わってほしい」。この熱意とまっすぐな気持ちが、ブラインドサッカーの未来を支えている。

(原田実希)