▼一回戦  ○
【慶大94―63松江工業クラブ】

 慶大は序盤から絶対的なC竹内公の高さを生かしながら、速攻、1対1と多彩な攻めを見せ、松江工業クラブを圧倒する。2Q5分、12点差まで追い上げられる場面にも、ディフェンスプレッシャーを強めると、スティールから立て続けに速攻を演出。3Q以降はバックアップメンバーも含めてバランスよく得点を重ねる。終盤、松江工業クラブは粘りを見せるも、ゴール下では竹内公の存在感が光る。慶大は終始リードを守り、94―63で2年振りの2回戦進出を決めた。
 試合終了後、次の対戦相手がJBLの人気チーム・日立に決まった。佐々木ヘッドコーチ(=以下HC)は「走り負けたら勝てる相手ではない。ディフェンスを固め、リバウンド後のアーリーバックを徹底すれば必ず実力を発揮できる。頑張ってきた結果が出そうだ」と語り、次戦への意気込みの強さを滲ませた。
 
 
▼二回戦  ○
【慶大72―69日立】

 慶大勝利の瞬間、学生チームが社会人トップリーグのチームを破るという19年振りの快挙達成に東京体育館全体が沸いた。
 1Qこそ4点リードを許したものの、大会規定により外国人選手を欠く日立に対して慶大は日本代表C竹内公がブロックショット、リバウンドなどインサイドを支配して主導権を握る。2Q序盤で追いつくと小林(総1)、加藤(経3)らが要所で得点を重ねる。4Qには最大15点差をつけ、ファールゲームに持ち込み追い上げる日立を振り切った。
 竹内公は「何か記録に残ることがしたかった。学生の強さを証明できてうれしい」、酒井(環4)は「ガードの選手がいいところで点を取ってくれた。日立を倒すというインカレ以降に定めた目標が達成できてよかった」と共に笑みがこぼれた。また、佐々木HCも「加藤は学習効果を出さないといけない時期。ようやく効果が出てきた。(組み合わせがわかってから)ずっとスーパーリーグの一角を崩したいと考えていた」と金星に頬を緩めていた。
 
 
▼準々決勝 ●
【慶大82―97東海大】

 前々日の日立戦の勝利が、まるで嘘のようだった。1Qは3点ビハインドで終えるものの、2Qに東海大が見せた予想外のゾーンディフェンスを前に、点差が離れていく。「日立戦で力を出し切り、今日は最初から足が重かった」と竹内公。東海大・井上との1対1でも優位に立てず、苦しい表情を浮かべる。3Qを終わって、23点差。この時点で勝利は絶望的となった。
 だが、慶大はそれでも諦めない。4Q、プレスを仕掛け、懸命に追い上げを図る。点差は縮まりきらないが、残り時間が少なくなってもファウルゲームを仕掛けずに最後まで正々堂々戦った。慶大の最後のオフェンス、意を決したかのように竹内公が「最後の力を振り絞って」意地のダンクを決めた。直後、竹内公はその場に倒れこんだ。最早、立つ力も残されていなかった。慶大の戦いは、このまま幕を閉じた。
 
 
▼学生チームの記録
 学生陣がスーパーリーグ勢を破ってベスト8入りしたのは1988年、63回大会で拓大が東芝に勝利して以来19年振り。
 また、今大会で東海大は21年振りに学生ベスト4に名乗りをあげた。学生が最後に優勝を果たしたのは1974年の50回大会で、明治大学が住友金属を破って達成している。慶大は56年前の27回大会で優勝している。