自動車部が競うのは、レース競技だけではない。要求されたコースをいかに正確に運転できるかを競う「フィギュア」という競技もある。これには、集中力と高度な運転技術が要求される。車体の幅1.7メートルに対し、2メートルのわずかな幅を進む。ハンドルを素早く動かし、狭い幅をミスなく通らなくてはいけない。

フィギュアで全国を舞台に何度も優勝を経験している由利直輝選手(経2)は、高校から自動車部に所属する。自動車部に入れば無免許でも自動車を運転できるところにひかれたと話す。

高校の自動車部にはレース競技はなかったが、細かい作業をこなすフィギュアという競技にすぐに夢中になった。

「自動車運転」というと個人競技を連想しがちだが、実際はチームプレーが求められる。例えば、レースでは自動車の修理時間があり、それぞれが専門部位の修理を担当する。限られた時間で、迅速で的確な作業が求められる。一つでも欠けると動かなくなることもあるので、各パーツを全部確認する。「自分たちが修理した自動車を見送ると頼もしく感じる」という。その他にも、スタートの位置を指示する人や相手チームのタイムを計る人が必要だ。練習場でコースを引いたり、目印の缶を置くことは部員全員でやるものだ。

マイナースポーツと言われることも多い。「フィギュアはレース競技に比べて華がないが、少しでも試合を見ていれば競技の深さがわかると思う。派手なレースをきっかけにフィギュアを見る人が増えればうれしい」と話す。

(椎名達郎)