「プロフェッショナル」という言葉は一般的に、「専門家」あるいは「アマチュア」の対義語として用いられる。学生の間は、「プロ」を身近な言葉としては捉えづらいが、塾生の中には卒業後、その道を究めるプロとして活躍する人がいる。
2007年に総合政策学部を卒業した竹内公輔選手(現リンク栃木ブレックス)は、塾生からプロへと羽ばたいた一人だ。
バスケットボールの名門・洛南(京都)を卒業後、「バスケだけをする人間にはなりたくない」との思いから、当時関東2部リーグに所属していた慶大を進学先に選んだ。入学後は、チームとしても個人としてもさまざまなタイトルを受賞し、輝かしい結果を残した。
大学の時から日本代表にも選ばれていた竹内選手は、バスケットボール漬けの日々を送った。それでもプログラミングの授業などは楽しんで受けていたそうで、「テスト前に必死で単位をとるために頑張ったのはいい思い出」と語る。
竹内選手がプロになろうと意識し始めたのは大学1年生のころだ。当時はまだ、プロリーグは存在していなかったが、日本代表の活動をしていくうちに、トップレベルの先輩や大学生たちに触発され、バスケで生計を立てたいという考えに切り替わった。
大学卒業後は、「自分がチームで活躍して優勝する」ということばかりを考えていた。学生時代よりも結果を求められるのがプロの世界だ。現在は年齢を重ね、いかに活躍するかよりも、結果を残し続けるためにいかにベストコンディションで試合に臨むかを考えている。
Bリーグが開幕して今年で3年目に突入する。「優勝を目指す」姿勢は変わらないものの、「勝ち」に対する意識に少し変化があった。「これまでは企業チームだったので、勝とうが負けようが企業がバックアップしてくれる体制だった。けれどプロチームでは、勝ってお客さんを集めてスポンサーをとってそれが僕らの給料になる。勝つためにやるのはもちろんですし、ファンを楽しませるという意識が強くなりました」。
プロ選手になるというのは、注目される存在になるということ。その分、人としての見本であり続けたいとの思いがある。「バスケ選手である以上は子供たちに夢を与え続けられる存在でありたい」と、自らが考える「プロ」としてのあり方を語る。
人から良くも悪くも注目をされる。その覚悟や自覚を持つことこそが、「プロ意識」なのではないだろうか。
(鈴木里実)
竹内公輔(たけうち・こうすけ)
1985年1月29日・大阪府出身。身長206cmのプロバスケットボール選手。2007年に慶大総合政策学部を卒業。現在は、Bリーグ・リンク栃木ブレックスに所属。慶大在学中、関東1部リーグ優勝、インカレ優勝の2冠達成に貢献している。