現代において、私たちは通販サイトを利用し、外出せずに読みたい本を手に入れることができる。こうした時代になって取り沙汰されるのが「リアル書店は存続可能なのか」という話題だ。
実際、経営難により店じまいを余儀なくされた書店も少なくない中、わざわざ店舗に足を運ぶ客が絶えないような書店があるという。名前は「天狼院書店」。どのような書店なのか、店主の三浦崇典さんに話を聞いた。
天狼院書店は、池袋・雑司が谷に位置する一号店の「東京天狼院」を中心として、全国に展開する書店。いわゆる「次世代型書店」の一つで、店内にはカフェやこたつが設置されており、客は店内でくつろぎながら読書を楽しむ事ができる。
天狼院書店の名物といえるのが、「ゼミ」や「部活動」、「文化祭」などといった、来店客のための参加型イベントである。
例えば、「ライティング・ゼミ」という、人に読ませる文章を書けるようになるための講座や、「動画ゼミ」という、魅力の伝わる動画の作り方を学ぶことのできる講座が開講されている。また、フォト部やヨガ部、映画部などといった部活動を通じ、同じ趣味を持つ人を見つけることもできる。
AIなどの技術の発達に伴い、人の仕事と機械の仕事が区別化されている。「我々人間には、より高い発信力やコンテンツ力が求められている」と三浦さんは話す。誰にでもできることと、自分にしかできないこととを差別化するために、自身のスキルを磨くことが重要視されているのだ。
天狼院書店は、書店として生き残るために、来店客の希望に沿った進化を続けていく。三浦さんは、狭義としての「紙の本」とは別に、広義としての本を「動画や講義なども含めた、生活に必要な情報を提供してくれるもの全て」だと定義する。 狭い視野に縛られることなく、今現在必要とされていることに柔軟に対応していくことが大切である。このような考えの下で、三浦さんが生み出した「21世紀のサロン」は、今日も多くの人たちで賑わっている。
(川名彩音)