第100回全国高等学校野球選手権記念北神奈川大会は7月30日、横浜スタジアム(横浜市中区)で決勝が行われた。慶應義塾高(塾高)は桐光学園を7―5で下し、10年ぶり18回目となる夏の甲子園大会出場を決めた。

100回目の節目を迎える今夏の甲子園大会には、神奈川の南・北地区から各1校が出場権を得る。

北神奈川地区第1シードの塾高は2回戦から登場し、初戦で昨夏県大会ベスト4の日大高に勝利。今春の選抜大会から課題とされていた打撃が覚醒の兆しを見せる。

すると3、4回戦はノーシード校相手ながらも2戦連続の二桁得点で立て続けにコールド勝ちを決める。主将の下山(3年)、夏から4番に座る廣瀨(2年)らが積極的なバッティングで牽引し、ビッグイニングを演出した。

順当な勝ち上がりで準々決勝に駒を進めた塾高だったが、森林監督は「これ以降はハイスコアの接戦になる」と警戒。温存していた「エース二枚看板」こと生井(3年)と渡部(3年)の両左腕を一挙に投入する。

昨夏は目前で逃したベスト4進出を懸けた桐蔭学園戦ではその渡部が先発マウンドに上がるも、相手打線につかまる。代わった生井も失点を止められず、今大会初めてリードを許した。しかし、ここでも下山、廣瀨がそれぞれ適時打、本塁打で突破口を作り、再び逆転。苦しい試合を制し、これが今大会のターニングポイントとなる。

続く準決勝では、今春の選抜大会で全国4強入りを果たした「東の横綱」東海大相模が立ちはだかった。厳しい戦いが予想されたが、試合内容は下馬評に反して塾高が序盤から主導権を握る。先発の生井は投げては九回途中4失点、打っては3打点と大車輪の活躍で「金星」に貢献した。

2年ぶりに決勝へ進出した塾高が最後に対戦したのは、昨夏の県大会準々決勝で敗れた相手の桐光学園。その試合と同じく先発を任された生井は七回まで1失点の好投を見せ、打線も三回までに5得点を挙げる。八回に集中打を浴び一時3点差に詰め寄られるが、代わった渡部が最少失点に抑えた。投も打も「粘りの野球」で悲願の甲子園への切符を手に入れた。

試合後に涙を流して選手と喜びを分かち合った指揮官は「『慶應は打てない』というイメージを払拭できた。選手の努力に敬意を評したい」と目を細めた。

塾高は8月5日に開幕した第100回全国高等学校野球選手権記念大会(阪神甲子園球場)に北神奈川地区代表として出場する。

(注)この記事の紙面掲載日は2018年8月9日です。