「ナマステー、ナマステー。おいしいカレーはいかがですか」
日吉の学生食堂では、民族衣装を身にまとった男性が大声でカレーの宣伝をしている。彼の親しみやすい様子に魅了されてカレーを食べた人も多いのではないだろうか。
これは学生食堂が不定期で開催している「インドカレーフェア」の様子だ。カレーを作りに来るのはダカル・サンカルさん(41)。イベント開催時に貼られるポスターで名前を知っている人は多いだろう。
だが、名前くらいしか分からない。一体彼は何者なのか。謎に包まれたダカルさんにインタビューし、塾生もほとんど知らないその人となりを突き止めてみた。
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—ダカルさんは普段何を仕事としているのですか。
私は、日吉の学食を経営しているグリーンハウスの社員ですが、普段から色々な学校にカレーを作りに行っています。カレーのイベントが多いですね。
—日本に来た経緯を教えてください。
私はネパールの首都カトマンズ出身です。10年くらい前に日本に来ました。日本に本場のカレーを広めたいと思い、料理関係の職業に就きました。自分のレシピでカレーを作っているので楽しく働いています。自分のメニューは100通りはありますね。
—慶大の印象はどうですか。
普段250食くらい作ってます。たくさん食べてもらえます。学生だけでなく先生方も私のカレーを楽しみにしているようでうれしく思っています。みんな優しいです。
—塾生に声をかけられることはありますか。
「カレーおいしかったよ」とか「ダカルさん面白いね」と言われることがあります。写真を一緒に撮ってほしいと頼まれることもありますよ。
—本場のカレーと比べ、日本のカレーについて思うことはありますか。
日本のカレーも好きですよ。しかし日本のカレーはそんなに辛くありません。私は辛いものが好きなので、日本のカレーを食べる時はいつも唐辛子をたくさん入れています。
—いつも家で何を作って食べていますか。
日本食は何でも好きでよく食べています。納豆も食べます。特に豚骨が大好きですね。ただ、宗教上の理由で牛は食べられません。
—日本で好きな場所はどこですか。
神戸が大好きです。初めて日本に来た時は群馬に、少しして3年くらい神戸に住んでいました。その後東京に来ました。神戸は楽しかったですね。
—日吉に来る時は何時ごろ来ているのですか。
朝の7時半には来ています。カレーの仕込みをするためです。たくさん作るので時間がかかります。慶應の食堂で作り終わったら次の食堂でも作りに行くのでとても忙しいです。
—ダカルさんのように色々な所にカレーを作りに行く仕事をしている人はおそらく日本で他にはいないのではないでしょうか。
おそらく私だけでしょう。あちこち移動するので大変です。
—なぜ自分の店を立ち上げず、学校を転々としているのですか。
自分のお店を出すのはお金がかかるので難しいです。ただ、今の仕事は移動が大変ですが、多くの人に私のカレーを食べてもらえるので嬉しいですね。
普段は真面目で大人しいダカルさん。カレーフェアの宣伝のように大声を出すことはほとんどないという。自分の作ったカレーをおいしく食べてもらうことがとても嬉しいと語った。次回ダカルさんがカレーを作りに来るときは食べてみてはどうだろうか。
(椎名達郎)
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