「私が今月号の喊声を書くよ」と言ったら、会員は「絶対面白い。楽しみにしてるね」と答えた。私は面白い文章を書けるらしい。
「面白い」の語源は、「面白し」である。「面」つまり目の前が白くなった状態である。目の前が明るくなっている様子を表すのだ。そこから、目の前にある景色の美しさを指すようになり、転じて、楽しい、心地よい、明るい感情を指すようになった。
面白い、面白くないと人は言う。例えば大学の講義について。この授業を受けてなんの意味があるのか、と思うのは日常茶飯事だ。
例えば映画や本について。何を言っているのか全くわからないと。もっと面白い作品が見たいと。
私もそう思うことがある。面白さとはつまりユーモアであり、刺激なのかもしれない。もしくは意味がわかってはじめて感じるものだ。だから、面白い人間になるためには、知識やユーモアを身につけなければならない。そう思って知識を吸収しようと欲張りになってしまうことがある。
しかし、明るい感情や美しいもの、心のときめきに目を向けたら、面白いことはたくさんある。帰り道、夜空を見上げて月がきれいだったとき、きれいだなあと思った瞬間、私の人生は面白い。
(下村文乃)