慶大出身の女性シンガーソングライター・関取花さん。ライブの開催や多数のCMソングを制作するなど、アーティストとして精力的に活動をしている。共感を得やすい独創的な歌詞は、TV番組に出演した際に話題となり、「ひがみソングの女王」の異名を持つ。

関取さんは高校時代に軽音楽部に入ったのがきっかけで、音楽活動に携わり始めた。慶大で学んだことは、今の曲作りに生かすことができていると語る。「ジッと同じ場所で何かを観察するのが好きでした」。このように話す関取さんは環境情報学部でフィールドワークを専攻するゼミに入っていた。ゼミの先生が言っていた「見過ごしてしまうようなところにこそ、面白いものがある」という言葉に惹かれたのが志望理由で、そのガッツは楽曲の歌詞に引き継がれている。

関取さんの歌詞の独自性は普段のバイタリティーにもあるのかもしれない。「『でも・だって・だけど』のようなDのつく言葉で私は頑張れる」と語る関取さん。これらはネガティブな言葉で、あまり口にしないほうが良いとよく言われる。しかし、彼女は「Dのつく言葉を使ったほうがリアルで、地に足をつけているような気がする。だって、何事もやるしかないし」と話す。




関取さんは、今月ニューアルバムを発売し、8月には初のホールワンマンライブを開催する。「小さいころから歌が好きとか、音楽で生きていくとかいうタイプではなかった。でも、音楽はいろんなことに気づかせてくれるし、唯一好きでいられること。それが今回のアルバムやワンマンライブにつながりました」と意気込む。

今後の目標について尋ねると、「名前が『関取』なので、両国国技館でワンマンライブをやりたい」と言う。両国国技館はすり鉢状の構造になっていて、客席との距離が近い。お客さんから見守ってもらうような形で舞台に立てるのが美点だそうだ。

理想のアーティスト像については、「『こいつ親戚や友達にいたら面白そうだな』というふうに思ってもらえたらいいかな」と語る。8月のライブにあたっても「変に気張らず、気軽にみんなが遊びに来られるような感じでやっていきたい」と心境を述べた。

楽曲においても、音楽活動においても、ファン対応においても、こびない、飾らない。彼女が共感を得る歌詞を生み出し、近しい存在として親しみを感じさせる理由はそこにあるのかもしれない。

最後に、塾生にメッセージをお願いした。「少しでも興味があることは大事にしてください。最初は面倒くさいなと思いながらも、ちょっと頑張れば面白いことはたくさんあります。Enjoy 塾生 Life!!」

 

(曽根智貴)


関取花(せきとり・はな)

1990年生まれの27歳。慶大環境情報学部に入学後、「閃光ライオット2009」に出場しデビュー。2012年『むすめ』が関西の大学のTVCMソングに起用され、以降多数のCMソングやテーマソングを手掛ける。最近はTV番組にも出演、“ひがみソングの女王”として話題を集め、お茶の間を賑わせている。今月3rdフルアルバム『ただの思い出にならないように』を発売、8月には東京と大阪で初のホールワンマンライブの開催が決まっており、活躍の場を広げている。