慶應義塾大学・読売新聞市民講座として、スポーツの見方・楽しみ方「Think サッカー~データからサッカーを考える~」が、先月19日に日吉キャンパスで開催された。午前の部と午後の部を通し、進歩の著しいデータ分析技術をどのようにサッカーに生かすか、専門家が解説を行い、小学生から大人まで熱心に聞き入った。
午前の部では、小学生を対象にInBodyを用いた身体組織の測定や、シュートスピードの測定を行った。また、サッカー教室では希望者にGPSなどの測位衛星データを受信するデバイスを装着させ、ゲーム中の移動を測定した。
午後の部では、午前の部で得られたデータを元にした分析を行った。GPSデータを分析した慶大大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の神武直彦教授は、データ分析を参考にトレーニングでの負荷のかけ方を工夫できるため、実際にケガが減少していると述べた。
またスペシャルゲストとして、元サッカー日本代表、東京ユナイテッドFCに所属する岩政大樹氏が登場し、トークショーを行った。データ分析のサッカーへの運用について岩政氏は、「時代の変わり目を実感している」と話した。その上で、データ運用の難しさとして、サッカーというスポーツに流れがあること、瞬時に状況を見て反応しなければならないことを挙げた。データを基にポジショニングや崩し方を頭で考えると同時に、局面では瞬時の反応や判断を適切に行うという、両者のバランスが求められるとした。
岩政氏はサッカーと関わってきた学生時代や、今月開幕するW杯への期待についても言及した。日本代表の西野朗監督については、「意外性があり天才肌の人」と語った。質疑応答では来場者から様々な質問が飛び交い、岩政氏が一つ一つに丁寧に回答した。