明大3回戦でサヨナラ打を放ちチームメイトから手荒い祝福を受ける渡部(左)

全戦全勝で迎えた第4週、立大1回戦で慶大は立大に1点差で敗れた。序盤で3点の先制点を許し、テンポのいい立大エース・田中誠から1点も奪えない。迎えた9回、田中に代わりマウンドに上がった川端に対し、嶋田(環2)、正木(政1)、中村(環3)が連打で畳み掛け、かろうじて2点を返す。しかし、あと1点及ばず万事休す。試合後、大久保監督は、田中裕(環4)ら救援陣が4回以降に立大に追加点を許さなかったことは評価しつつ、守備の乱れなど次の試合への課題を指摘した。

すると立大2回戦では菊地(政4)、髙橋佑(環3)、石井(商3)の継投で立大打線をわずか1失点に抑え、4―1で勝利。3回戦では、慶大自慢のつながる打線が火を噴き、7―1で快勝。昨春リーグ優勝校の立大を相手に勝ち点を挙げた。

第6週の明大戦1回戦は明大に先制点を許し慶大が追う苦しい展開だったが、9回に何とか追いつく。延長10回に柳町(商3)、郡司(環3)の連打でサヨナラ勝利を収めた。2回戦は、明大から1点も奪えず2点差で敗戦。3回戦も3点の先制点を許し明大を追う展開となったが、5回に河合(総4)が1点返したのを皮切りに郡司が2点目を返した。6回には植田清(総4)の適時打で同点に追いつく。明大に追加点を奪われ慶大が追いつく展開が8回にあったが、9回裏、渡部(環1)が中前打を放ち、1点を奪ってサヨナラ勝ち。慶大の粘り強く、最後まで諦めない精神によって得られた勝利となった。

第6週開始時点で優勝の可能性は慶大と明大の2校にあったが、対明大戦の勝利で優勝が大きく近づいた。第8週の華の早慶戦という大舞台に優勝が持ち越される可能性が大きくなった。明大戦終了直後、選手・監督ともに大一番の早慶戦に対する緊張を口にしていた。

しかしそれは杞憂であった。第7週、明大は法大に1回戦で敗北し、勝ち点と勝率で慶大を上回る可能性が消滅。そのため、慶大は早慶戦の結果にかかわらず、優勝が決定した。

最終週の早慶戦は1勝2敗で全カード勝ち越しの完全優勝を成し遂げることができず、悔しい結果となった。1回戦では、バッテリーのミスから早大に先制点を奪われる苦しい立ち上がり。しかし流れを渡さない。相手のミスを見逃さず3点を挙げ逆転。その後も守備を固め勝利した。しかし、2回戦で慶大は守備のミスから早大に流れを持っていかれ、二本塁打を許し0―9で惨敗する。3回戦は両者ともに譲らず、0―0のまま延長戦へ。11回表で早大・小太刀にソロを浴び、そのまま追いつくことができず敗戦した。

早慶戦の結果は悔しく、残念なものとなってしまった。しかし慶大は優勝が確定していたため、早慶戦の後、優勝パレードと祝賀会が催された。明治神宮野球場から三田キャンパスまでの道のりを約2時間かけてパレードを行った。祝賀会では、三田キャンパスを覆いつくすほどの人が集まり、應援指導部の指揮の下で『若き血』を歌った。

祝賀会において監督は「早大に負け越したことは監督の責任であり申し訳ない。しかし、優勝できたのは、選手と1‌6‌2人の部員の頑張りのおかげ」と選手と部員らを称えた。そして「昨秋の明治神宮野球大会では1回戦敗退という悔しい結果に終わった。この次は全日本(大学野球選手権大会)でどのように勝つかを考えている」と話した。

主将の河合は「2季連続優勝を報告できて嬉しい。早大に勝てなかったことは悔しいので、今度こそ勝つという気持ちで秋に向けて頑張りたい。次の全日本大会では早大に負けた悔しさを糧にして頑張りたい」と大勢の前で誓った。

悔しいのは早慶戦の負け越しだけではない。昨年の明治神宮野球大会で1回戦敗退を喫した苦い経験を活かし、日本一を目指してほしい。

(本田里菜、椎名達郎)

(注)この記事の紙面掲載日は2018年6月13日です。

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