このかわいいイラストの作者をご存知だろうか。イラストレーターで塾員のfoxcoさんこと渡邉香織さんだ。
彼女の人生は「チャレンジ」の連続であり、チャレンジし続けることこそが彼女の強みである。
渡邉さんは慶大総合政策学部を卒業後、大手外資系IT企業にコンサルタントとして勤めたのち、同じく大手外資系EC企業の広告営業の仕事に転職。イラストは副業として描いていた。2社目で働いていたときに受けた取材で、「これからはどうしたいのか」という質問に対して、「いつかは自分の名前で生きていきたい」という言葉が自然と出てきたそうだ。これをきっかけに自分の本心に気づいた渡邉さんは、フリーランスのイラストレーターに転身することを決意。「30歳までやってみてダメだった時のプランBは念入りに立てましたが、あとは後悔するくらいならやっておこう、くらいの気持ちだったので、不安よりもやってやるぞという気持ちが強かったです」。今では数々の女性ファッション雑誌やブランドにイラストを提供するなど、イラストレーターとして成功を収めている。
今の彼女を支えるのは豊富な海外経験である。「日本では私の周りに絵だけで生活している人は少なかったです。しかし、カナダとフランスで暮らしているので、クリエイターの仕事がちゃんとお金を生んで、尊敬される職業だということを知って、これで生きていきたいと思うようになりました」。渡邉さんは高校1年時の1年間の予定でカナダへ留学したが、その想像以上の楽しさに、気付けば3年間をカナダで過ごした。
大学進学の際、1年生から自分の好きなことを学ぶことができる環境が整っているSFCを知り、「ここしかない」と総合政策学部を受験。合格し、塾生となった。プロダクトデザインを中心に学び、特に義足のデザインや、健常者と切断者との間の身体認識の違いに着目した哲学を研究した。在学中、よりデザインについて詳しく学ぶために、慶應義塾派遣交換留学を利用して1年間フランスのパリに留学した。パリでは芸術学部に所属し、本格的にデザインについて学ぶようになる。授業では基礎のデッサンが多かったため、せっかくパリにいるなら、と街中に出てイラストを描き始めたそうだ。
「これからは仕事の場を世界に広げ、まだ誰もデザインしたことのないものを企画から携わってデザインしたい」と今後の目標を楽しそうに語る渡邉さん。面白そうなことは何でもやってみようという精神でどんどん新しいことにチャレンジしていく彼女の今後のますますの活躍を期待せずにはいられない。
(大津こころ)