今年3月に発表された全日本男子バレーボールチーム「龍神NIPPON」の登録メンバーに、一人の塾生の名前があった。樫村大仁選手(環2)だ。樫村選手は身長1‌9‌6cm。その長身を武器に慶大ではミドルブロッカーとして活躍しており、2年生ながらすでにチームのエースである。

父親の影響で始めたバレーを続けてこられた理由は、「試合で勝つ」という目標が常にあったからだと話す。

樫村選手にとって転機となったのは、全日本ユースへの選出だ。全国トップレベルの選手たちと練習を重ねるうちに、もっとバレーを真剣にやりたいと思ったという。当時高校生だった樫村選手は、今ほど「バレー選手になりたい」というバレーへの熱量はなかった。しかし、トップレベルの選手たちの意識の高さやこだわりを目の当たりにし、バレーに取り組むために大学進学を決意。選手主体の雰囲気が魅力的な慶大バレー部を選んだ。

チームには、意外にも感情的になる選手が多い。「僕は逆に静かで良く言えば冷静なので、熱くなっている人に対して声掛けするのは役割の一つですね」と笑う。上下関係なく指摘しあえる雰囲気が慶大バレー部の強みでもある。

昨年、ミャンマーでアジアユース男子選手権大会が開催され、日本は初優勝を果たした。樫村選手はスタメンとして全試合に出場。国内ではあまり体感することのできない「高さ」を体験した。自分より上から打たれるのは初体験だったそう。

世界の舞台で一回り大きく成長した樫村選手に、今後の目標を聞いた。「全日本ではまだまだ未熟ですが、12人に選ばれるぐらいの選手になりたいです。大学では、まず目の前のリーグ戦で上位を目指すこと。そして6月にはとどろきアリーナで早慶戦を盛大にやる予定なので、熱い気持ちをもってできればいいなと思います」

日本期待の新星に注目だ。

(鈴木里実)