2月6日より、慶大ソッカー部の新体制が始動した。監督は、須田芳正氏に代わり、冨田賢氏が新たに指揮をとることとなった。また、コーチ陣では、元日本代表の戸田和幸氏が新たに加わり、慶大のチーム強化を図る。その新体制を率いる冨田賢新監督に、チームの状態や目指すサッカー、意気込みを聞いてきた。

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―須田芳正前監督の後を引き継ぐことについて。

計り知れない想いがあります。須田前監督が残した功績というのは、10年間慶大が1部に居続けられたということだけではなく、福井民雄前総監督と共に情熱をもって選手と向き合い、選手だけではなく社会人コーチたちや皆のことをまとめてくれたところにあります。そういった方々がいなくなって自分にそれだけのことができるのかという責任を感じています。だけど自分も慶大の選手・コーチを経験してきて、慶大のこと、慶大の伝統のことを若いながらも理解しているという自負があります。だからこそ、色々な意味で覚悟を持ってチームのため、慶大のためにやっていきたいです。

―戸田和幸コーチが新たにチームに加わることについて。

戸田さんはサッカーの経験だけではなく、ハングリー精神がある方です。サッカー選手としてだけではなくサッカーへの姿勢、例えば、何かをひたむきに追求していく姿勢は自分自身も、そして選手たちも学ぶところがたくさんあると思います。

―チームをどのように立て直していこうと考えていますか。

ベースとしては、一人一人がひたむきにチームのために何ができるかを考えて、ピッチだけではなく内外においてそれを行動に移せるかどうか。これがなかったら、昇格はないでしょう。このベースを全員が持っているかどうかが重要で、僕の仕事は、そのことを伝えていく、そして僕自身が一番強く持つことだと思っています。

―慶大のストロングポイントと課題とは。

とにかく素直なところですね。監督やコーチの言っていることを本当によく聞いている。そこは非常に賢いと思います。トレーニングでやったことを、しっかりと試合に活かすことができる選手たちです。

しかし、逆の側面もあって、言われたことはできるけど、それ以上のことはまだまだという感じがします。自分たちは、サッカーの本質だったり戦い方はある程度提示しますが、選手がピッチで何を感じて、常に変わる状況をどう判断をするかが大事になってきます。その力を養ってもらいたいです。

―1部昇格について。

1部復帰を期待していますが、甘くないし、間違ったら3部もあると思っています。選手たちにはその危機感を持ってもらいたいです。

―1部昇格へカギとなる選手を挙げてください。

全員です。ただ、あえて挙げるとすると、松木 駿之介主将(総4)。彼は、慶應魂を引き継いでいる選手です。彼のひたむきかつ泥臭くプレーする姿でチームを引っ張ってもらいたい。あとは、岩﨑湧治副主将(商4)。彼は、1番僕の考えを理解できる選手で、そういう意味では、僕の考えをチームに伝えてくれる存在になると思います。

―理想の監督像は。

選手を成長させられる監督が理想です。そこに情熱をもって向き合っていきたいです。

―監督が目指すサッカーとは。

一言でいうと人を感動させるサッカーですね。慶大の試合を観てよかったと思われるようなサッカーを目指したい。そのためには、攻守にわたって生き生きと主体的にプレーすること、そして皆がコンパクトにポジションを取りながら連動してボールを奪いに行くというのが理想のサッカーです。また、主体的に攻めるのと同時に相手を見て判断できるようになることも大事です。

―読者の方々へメッセージをお願いします。

僕自身、最善を尽くしていきます。また、感動してもらえるようなサッカーを追求していきたいと思っています。皆で一生懸命やっていくので、是非興味を持って観に来てください。

(聞き手・鈴木里実)