医療に関わる学部は、大半の学生が医療資格を取って専門職に就くという点で、他学部と大きく異なります。資格という「枠」が存在する教育課程の中で、同じ資格を持つ人から教育を受けるという自己完結型の教育で従来は成り立っていました。しかし、高齢化に代表される社会の変化に合わせて、ヘルスサービスも大きく動いています。病院や資格という枠に囚われた医療教育には限界が生じているのです。
医療に携わるにあたって重要なのは、「社会との関わりの中で、医療サービスの新しい価値をどう創っていくか」です。そのためにはまず、他分野の人とも言語を共有できるようになることが必要です。医学・薬学・看護といった医療職の間だけでなく、社会科学系の人達とも共有できてこそ言いたいことを言い合い、新しい価値を生み出すことが可能になります。自分の専門でない分野の人と関わることは、「自分たちはいかに狭い世界にいるか」を知ることにも繋がります。自分たちにとっては当たり前のことが、医療の外側から見ればそうではないこともあります。それは自己完結の中にいてはわからないことです。
慶應の中で学ぶ良いところは、自分の学部を飛び出して学生生活を送れるということです。様々な学部に生涯にわたる友人がいれば、
繋がりを作るためには、医療系の学部のサークルよりも、
(聞き手=福井一玄、杉浦満ちる)