[実践]困難が続く事務所の片付け

後日、聞いたことを基にして、事務所の片付けを始める。最低限の物として、ゴミ袋・紙袋・雑巾・結束ひも・ウェットティッシュを用意。しかし、それは困難の連続の始まりにすぎなかった。

まずは、大量にある資料の整理。幸いにも所内にはほとんど有効に活用されていないロッカーや棚があり、そこに詰め込むことで事なきを得た。資料の使用頻度や量も意識し、よく使うものは保管し、残りは捨てた。

机に散らばった小物たちは「よく使う物セット」とそうでないものとに分けた後、グルーピングして使いやすくする。ダンボールは容赦なく捨てる。橋口さんによれば、家電などの段ボールを捨てずに残しておく人も多いらしいが、それは場所を取るだけだと言う。「取扱説明書はなくても、最近は調べれば使い方が分かるし、売るために箱を残しておいても、結局壊れるまで使うことのほうが多いですよ」と説明する。

さらに、空間の使い方も意識し、作業の場所と休憩スペースと資料スペースとをエリア別に分離。事務所の一角には掃除用具の置き場所も設けた。

途中、探偵は所内の片隅に潜む謎の鍋を発見した。ふたには、ほこりがかぶり、最近使った形跡がない。おそるおそる中を確認すると、そこには干からびて変色した雑巾のようなものが大量に―。所員全員の顔が一斉に青ざめる。

鍋の近くには、賞味期限切れの調味料たち。「誰だ、こんなものを置きっぱなしにしたのは!」 驚愕の空気が所内を包み、探偵は大声で怒鳴りつけた。「昔みんなで鍋パとかやってたんじゃないですか」。ある所員の一声に一同納得の声をあげる。

様々な苦難を乗り越え、ついに片付け終了。と思いきや、そこへやってきたのは所員KY。彼の事務所の使い方もあまり良いものではなかった。そして、彼は何もしていないのに、いきなりこのように述べた。

「いやー、きれいな事務所ってさいこー」

このような片付けが苦手な人に合わせて、今後事務所の維持に努めなければならないと思うと、探偵は断腸の思いを感じた。また、片付け翌日、普段慣れない力仕事のせいか、探偵は腰を痛めるという不幸に見舞われた。毎日あれを行う引っ越し業者の人はやはりすごい。

部屋の片付け方法に悩む方々、片付けの理論や我々の実践を基にして、ぜひとも効果的な片付けを実践してほしい。新入生を迎えるのも、片付けを行うのも、綿密な理論と計画に基づけば、やる気次第できっと上手くできるはず。ただし、探偵のように無茶はしないように―。

(ヘルニア教授)

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