《長椅子の上での、刃物と花との偶発的な出会いのような美しさ》

 

綺麗な花は人を自然と引き寄せる。そして、見る者の緊張を和らげ、癒しと力を与える。今月号のキャンパスアイドルは、冬に咲いた奇跡の花のような女性——文学部1年の近藤有莉さんだ。同学年とは思えないほど、大人びた雰囲気。緊張していた記者にも優しく話しかけてくれ、おのずと気持ちがほぐれる。そのおかげで取材は和やかに進んだ。

文学部のため来年度から、三田で本格的に専門教育科目を受ける。希望の専攻を尋ねると、国文学専攻と晴れやかに答えてくれた。以前から言語学に興味があり、日本語学を勉強したいそうだ。言語の構造が好きらしく、「使役構文にはこういうプロトタイプの構文があって——」とその魅力を熱く語ってくれた。現在は留学を目指して英語の勉強に励んでいる。当面の目標は留学の選考に通るため、TOEFLで高いスコアを出すことと話す。留学したい国を聞いてみると、オーストラリアだという。「オーストラリアは日本語や日本の研究が盛んで、国内からでは見えてこないことを見てみたい」。外から新たな視点で日本を見直す。彼女の確固とした信念に記者は称賛の声を禁じえなかった。




そんな彼女だが、自他共に認める「変人」だという。そのエピソードは痛快で、合唱部に入っていた経験から、今でも鼻濁音が好きだと話す。また、好きな食べ物を聞いたところ、「生麩」という返答が来た。「少しぐらい変でもいいかな」。そんな純粋さも、彼女の魅力の一つなのだろう。

他に流されないストイックさと人を引き寄せるお茶目さを併せ持つ近藤さん。好きなタイプを尋ねると、「真面目かつ堅実なことが一番大事。自分自身がかっちりして生きていきたいので、同じような価値観を持っていてほしい」と恥じらいながら答えてくれた。バレンタインについては、「内緒」と愛らしく誤魔化されてしまった(笑)が、彼女の麗しさにはどんな男性もきっとメロメロになるだろう。

最後に、受験生に対してメッセージをお願いすると、「どんな結果になっても、そこまでの努力は無駄にはなりません。それは自分の糧になるので、受験のときには全力を出しきってほしいです!」とありがたい言葉をもらった。

未来の慶應生たち、花に嵐の受験戦争を乗りこえた先にはこんなにも美しくクールな先輩とのキャンパスライフが待っている。あなたがたにも花の咲きほこる、暖かい春が訪れますように—— GOOD LUCK!!

 

(1998年のhyphen)

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