神宮球場で開催された第48回明治神宮野球大会は、先月15日閉幕した。東京六大学野球連盟代表として13年ぶりの出場を果たした慶大は、1回戦で環太平洋大と対戦。相手投手のテンポいい投球を前にバットが出ず1―5で初戦敗退を喫した。
秋冷えの中、神宮球場には満員の観客が詰めかけた。優勝筆頭候補と見られていた慶大と、中国・四国三連盟の覇者の対決とだけあって、注目の高さがうかがえる。
環太平洋大を率いるのは、野村昭彦監督。広島東洋カープ元監督・野村謙二郎氏の弟で、慶大・大久保監督と日本石油(現JX-ENEOS)でバッテリーを組んだ間柄でもある。監督にとっても特別な思いで挑む戦いとなった。
慶大は、今秋の早慶1回戦で6回1失点と好投した関根(環1)が先発。初回はランナーを出しながらも、捕手・郡司(環2)が二盗をきっちりと阻止し、この回を打者3人で締める。
対する環太平洋大は、変化球を中心とした制球力が評価されている2年生エース・西山が登板。すると、慶大打線はこの西山を相手に苦戦。球速は決して速くないが、スライダーの球筋は読みづらく、岩見(総4)と天野(環4)が中前へ運ぶのが精一杯だった。西山は6回を投げ57球零封と圧巻の投球を披露し、マウンドを降りる。
一方の関根も粘りの投球を見せる。3回にはバッテリーミスが絡み1点を失うが、5回途中まで投げ被安打4、1失点と相手に主導権を握らせることはなかった。
しかし、打線が流れを引き寄せられず。又吉克樹投手(現中日ドラゴンズ)の弟、亮文ら継投陣を捉えきれないまま、8回まで無得点。最終回に2死二塁から岩見が意地のタイムリーを放つが、反撃もここまでだった。六大学野球秋季リーグ第5週から続いていた連勝は止まり、日本一の夢はついえた。
リーグ戦から全試合で先発マスクをかぶり続けた郡司は、「複数の投手が繋いでいかないと勝てないチーム状況。それぞれの投手の性格を把握し、勝負する難しさは痛感する」。悔しさを滲ませながらも、「日本一という三つ目の目標を残り2年間のうちに必ず成し遂げる」と力強く宣言した。
(広瀬航太郎)