バスケットボールの関東大学1部リーグ戦が九月九日、青山学院大学相模原キャンパスアリーナで開幕した。関東王者を目指す塾バスケットボール部は日本代表C竹内公(総4)、主将のF酒井(環4)に加え、ルーキーのG小林大(総1)らの活躍もあって第一週の東海大戦、第二週の青学大戦をともに1勝1敗と健闘。二年ぶり優勝は射程圏内だ。
 
 
 ▼九月九日 ●
 【慶大64―75東海大】

 「去年のリーグ戦とインカレ同様の負け方をしてしまった」。試合後、佐々木ヘッドコーチ(以下HC)は淡々と語った。「世界選手権を終えて、体力的にも精神的にも落ち込んでいる」という日本代表・C竹内公が戻ってきて日は浅いが、またもや接戦の展開となったリーグ開幕戦を落としてしまった。指揮官の嘆きも無理はないだろう。
 試合は序盤から流れはほぼ互角の展開。しかし慶大のシュートは何度もリングに嫌われ、点差だけが開いていく。前半終了時点で1点差に迫り、4Q終盤までは一進一退の攻防が続くが、最後は東海大との地力の差によって突き放された。
 佐々木HCは最後に、「明日は(今日の敗戦を)乗り越えようという意欲が無いといけない」と語った。連敗すれば、優勝を目指す慶大には『限りなく赤に近い黄信号』が灯る。チームは早くも正念場を迎えた。
 
 
 ▼九月十日 ○
 【慶應71―68東海】

 運も味方につけた勝利だった。3Q、追い上げる東海はC竹内譲がファウルトラブルでベンチへ。試合終了間際には同じく東海大のF井上が負傷退場し、慶大が幸運にも逃げ切った、という感も強い。
 だが慶大は運で勝ったわけではない。主将のF酒井は「粘れたこと」を勝因に挙げた。4Q残り3分で見られたC竹内公の気持ちのこもった竹内譲に対するディフェンスは、正にその表れだ。
 一方で課題も見えた。佐々木HCやG加藤(経3)は、「相手のガードにやられてしまった」とコメント。確かに、東海のG石崎らにディフェンスが崩される場面が二日間通じて見られた。佐々木HCは「次の相手である青学大は東海大同様にガードがいい。だから慶大のガードがどれだけ守れるかが鍵。(今日と)同じような戦い方が出来ないと厳しい」と続けた。
 去年のリーグ優勝校である青学大との試合は、東海大戦同様厳しい戦いになるだろう。『粘り』がどれだけ見せられるか。勝負の行方はそこに左右されそうだ。
 
 
 ▼九月十六日 ○
 【慶應70―63青山学院】

 前半に大量リードを奪った慶大であったが、4Q、青学大に猛烈な追い上げを許してしまう。この状況を打破したのがルーキーのG小林大。何度も青学大に詰め寄られるが、その都度3点シュートを決め、最後まで流れを相手に譲らなかった。
 「部のOBから『35点決めろ』と言われていた。実際に取れたのは28点だったのでやばい、と思っていたら『今日と明日の二日間で』という事だったらしい」と笑う。主将のF酒井と同じ、強豪・福大大濠(福岡)出身。1年次にはウインターカップ準優勝、3年次にはインターハイ準優勝を経験している。佐々木HCも「大祐は相当な修羅場をくぐってきている分、接戦の展開になると強い」と、その経験を買う。
 「明日もコンスタントに20点以上を狙っていきたい」。経験に裏打ちされた自信が、彼の言葉から伺えた。
 
 
 ▼九月十七日 ●
 【慶大86―92青学大】

 4Q途中、佐々木HCの怒りが頂点に達した。「(相手チャージのせいで)シュートの体勢が完全に崩されているじゃないか!!」。怒りの矛先は青学大寄りの判定を繰り返す審判。G小松(総3)は不可解なトラベリングの判定に声を荒げ、激しくチャージを受けたがノーファウルとされたF酒井は審判を睨む。G加藤に到っては、こちらも不可解な5ファウルで退場に。内容では慶大が勝っていたが、審判にリズムを崩された。「判定の多くは不服。逆に審判は(竹内)公輔に対する相手チャージを見てくれない……」。試合後の佐々木HCの表情は憮然としていた。
 2敗に後退し、慶大の優勝も遠のく納得し難いこの日の結果。会場は、言い知れない不快感に包まれた。