法務省は今月12日、今年度の司法試験合格者を発表した。今年も受験者数および合格者数が大幅に減少するなか、慶大は昨年に引き続き合格者数で大学別トップを維持した。合格率は全体・慶大ともに大きな変化はなかった。全体の合格率は25%を上回って、受験者の4分の1が合格する結果となり、慶大の合格率は大学別4位に留まった。
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法務省によると、今年度の受験者数は5967人、合格者数は1543人だった。昨年度に比べて受験者数は932人、合格者数は40人減少したかたちだ。一方で、合格率に大きな変化はなかったものの、25.9%と昨年度よりわずかに上昇した。
慶大法科大学院からの合格者は144人で、155人だった昨年より11人減少したが、昨年に引き続き合格者数トップを記録した。合格率は昨年と同様に京都大学・東京大学・一橋大学を下回ったものの、45.4%と全体の合格率と同様に若干の上昇傾向にあった。うち、既修者コースの合格率は58.6%、未修者コースは19.6%だ。両者には依然として開きがある。
現在、慶大法科大学院から試験に合格した者の何人かは、司法修習後、弁護士ではなく任官として活躍している。2004年の法科大学院設置以降は、検察・判事になる者の15~16%前後を慶大出身者が占めている状況だ。慶大出身者は試験合格後も高い評価を受けていると言えよう。
しかし光があれば影もある。現在の司法試験が開始してから12年が経ったが、司法試験の受験者数および合格者数はここ数年減少傾向にある。その背景にあるのは、法曹志望者数の減少だ。
法務研究科委員長の片山直也教授によると、減少の原因はさまざま考えられるが、時間と学費がかかることと、法曹の魅力が伝わっていないことにあるという。
慶大法科大学院は、前者の問題を解消することを目的に、学部3年・院2年の計5年で法曹を目指す、学部とロースクールを一体化したコースの設置を検討しているという。またグローバル要請に対応しきれていないという法曹の非魅力的な部分をカバーするLLM(Master of Laws)を今年度より併設した。グローバル法務を専攻できる教育課程だ。LLM設置科目は、法科大学院の学生も履修することができる。
一方、志望者数減少を一因として、現在、全国の法科大学院が次々と廃止されているという問題もある。今年5月には青山学院大学や立教大学など有名私大の法科大学院も募集停止を発表した。
今後、司法試験自体の改革はおこなわれるのか。片山教授によると、少なくとも平成30年まではなされないという。「法科大学院については、さらに淘汰はされていくと思うが、存続はしていくのではないか」と片山教授は話した。今後の動向に注目がかかる。