7月10日、三田キャンパス北館ホールにて、慶應義塾体育会本部主催の「LEAP‐G」が開催された。塾体育会卒業の一部上場企業の社長を招いて行われる本講演会は、体育会の先輩団体である三田体育会の協力を得て、今年で開催12回目を迎えた。
 
今回の講演者は、蹴球部OBであり株式会社ミクニ代表取締役社長の生田久貴氏だ。講演テーマは「わが経営と体育会から得たもの」。今年も体育会生でほとんどの席が埋まる盛況ぶりだった。
 
生田氏は、大学在学中にラグビー大学選手権、日本選手権で優勝を飾り、三菱商事就職後には日本代表として第1回ラグビーワールドカップに出場。その後、自動車やオートバイの部品メーカーである株式会社ミクニに入社し、代表取締役社長として一部上場を果たした。「社会人になってからも、夏合宿以上に辛い思いをしたことはありません」という生田氏。大学時代の合宿での並外れた練習量が心の拠り所となり、勝利を支える精神力を生み出したようだ。
 
厳しい戦いを強いられたとき、最後に物を言うのは精神力。気持ちを強く持つためには、「これだけやったのだから」と誇れるほどの妥協のない練習が必要だ。練習量で相手を凌駕しようと意気込んでいた学生時代を振り返りながら、「目の前のことに全力で取り組むこと」の大切さを強調した。
 
さらに、体育会での活動を通して身につけて欲しいこととして、「理不尽さと向き合う力」を挙げた。なかなかレギュラーに選ばれなかった時期の体験談を織り交ぜながら、理不尽な状況に向き合い、それを糧にして乗り越えることの重要性を説いた。
 
社長就任後にはリーマンショックや拠点先タイでの大洪水など多くの災難に見舞われ、まさに理不尽な状況に立たされた。それでも、困難な状況を受け入れ、達観していられたのは、体育会時代に培った理不尽さに向き合う力のおかげだという。
 
講演の終盤、「目の前のことに全力で取り組み、理不尽さと向かい合う。体育会での活動を通して、将来に活きる経験をしてもらいたい」と体育会生にエールを送った生田氏。会場からは大きな拍手が沸き起こった。