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他大学の制度は
他大学のトップは、どのように決められるのか。今回、上智大学、明治大学、早稲田大学、以上3大学から回答を得た。
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【上智大学】
上智大学は慶大と異なり、学校法人上智学院の代表者である理事長と、大学の代表者であり、大学の校務全般を統括する上智大学長が設置されている。
上智大学長は4段階の手続きを踏んで決定する。まず、候補者選考委員会または教職員から学長候補者の推薦をする。次に、候補者選考委員会による面接等を経て、最終的な学長候補者を選定する。
選考委員会によって選定された学長候補者を対象に、教職員が評価する「学長候補者に係る調査」が実施される。前回行われた学長の選出の際は、4日間に渡り調査が行われ、人物、教育精神と建学の理念への理解、およびこれらに基づく人材育成の推進、情報発信力、リーダーシップマネジメント力、国際的な視野、コミュニケーション力および実行力の各項目について評価した。
最後に、候補者選考委員会による選考経過や調査結果等を理事会が参考にして、次期学長が選任される。
学長主導による大学改革を実現可能にするため、2015年に選出方法を定めた規則が改正された。従来は、候補者選考委員会が候補者を選出し、教職員による選挙を行い、その投票結果を受けて理事会が学長を任命していた。
【明治大学】
明治大学も、慶大と異なる二長制を採用している。学校法人明治大学の経営管理責任者である理事長、明治大学の教学・研究の運営責任者である学長がそれぞれ設置されている。
理事長は、大学の教職員や卒業生から構成される評議員会の評議員の中で互選された17名の銓衡委員により、理事長候補者1名を決定し、評議員会において選任される。評議員会における議決には、評議員の3分の2以上の出席および、出席評議員の3分の2以上の賛成が必要となる。
学長は、理事長から連合教授会に対して学長候補者の銓衡依頼を行い、連合教授会における専任教員による直接選挙を経て、学長候補者1名が決定する。その後、評議員会の承認を得て、理事長が任命する。評議員会における議決には、評議員の過半数の出席および、出席評議員の過半数の賛成が必要となる。
【早稲田大学】
早稲田大学は、学校法人早稲田大学の理事長と早稲田大学の学長を兼ねた「総長」が設置されている。
総長は3段階の手続きを踏んで決定される。まず、専任教職員および学外評議員の中からそれぞれ投票によって選出された60名によって構成された総長候補者推薦委員会が、その下に置かれた6つの小委員会で審議を行ったうえで、推薦委員会の投票で上位5位までが総長候補者として推薦される。
次に、学生による信認投票が行われる。学部や研究科に正規生として在籍する学生が、支持しない候補者を投票する。信認しない学生が過半数を超えた場合、総長候補者に決定選挙の候補者になるかどうかの意向を確認しなければならない。
最後に、専任教員や専任職員全員(約2200人)、および学外評議員などの卒業生(約200人)による決定選挙が行われる。投票の結果、投票総数の過半数の得票者が総長に選任される。なお、得票数は公表される。
前回行われた総長選挙は、1カ月近い選挙期間が設けられ、候補者から選挙人への広報物の送付や、ウェブシステムを利用した候補者の講演動画の公開が行われた。