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教職員投票1位の細田氏、「プロセスを歪めたことに怒り」
塾長候補者推薦委員会による投票で得票数が1位だった、元・経済学部長の細田衛士教授に話を聞いた。
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―なぜ塾長になろうと決心したのですか。
当初は、塾長になろうとは思っていませんでした。しかし、塾長の任期を2期までと定めたのにもかかわらず、現行政権で常任理事をしている人が、新しい塾長に名乗りを上げていることに疑問を抱きました。そこで、批判票の受け皿として立ち上がることを決心しました。
―結果、推薦委員会による2回目の投票では過半数から票を獲得しましたが、その結果に対してどう思いましたか。
当初は、3人の第2次塾長候補者まで残れる自信は無かったです。最終的には、現行政権で常任理事をしている人が新しい塾長になることを疑問視する教職員は意外と多いことがわかりましたが、得票数が1位になるとは思っていませんでした。
―得票数が1位だったのにも関わらず、銓衡委員会が細田教授を推薦しなかったことに対してどう思いましたか。
塾長の選任方法が1964年から始まって半世紀以上、学内の選挙の上位3名のうち、最上位の人を塾長として選出していたのにも関わらず、その慣行が今回破られました。また、学内の投票で過半数の票を獲得したのにもかかわらず、外部の委員の名前が明らかでなく、議事録も無い、密室の銓衡委員会がその結果を覆しました。
これらに関して、明確な説明が無いことはおかしいと思い、怒りも感じます。自由な気風の慶應義塾ではあってはならないことです。また、学内の選挙の結果を覆す判断をし、半世紀以上にわたり続いた慣行を変えることは、過去を否定することになりかねないため、相当慎重な審議があって然るべきだと思います。しかしながら銓衡委員会では、5分~10分程度のプレゼンテーションと15分~20分程度の質疑応答、計20~30分程度しか費やしておらず、これは慎重な審議とは言えないと思います。
僕が塾長になれなかったことはどうでもいいことです。でもそのプロセス自体を歪めてしまったことに怒りを感じています。
―現行の塾長選出の制度には問題があると思いますか。
学内の投票の得票数を考えず銓衡委員会が選任するのであれば、現行制度はおかしいと思います。なぜなら、銓衡委員の名前や選考プロセスが明らかでないからです。銓衡委員会は、議論をオープンにし、時間をかけるべきです。
また、銓衡委員会の議長を務める評議員会議長は昨年、現執行部の下で承認された人です。外部の銓衡委員の人選も、形式上は評議員会の互選でも、実際は評議員会議長の一任で選任されます。銓衡委員は、現執行部の力が及ばない、外部の中立的な立場の人が務めるべきだと思います。
そして今回、評議員議長は出席者個々の意見も丁寧に聞くことなく、自分の考えの提案で合意をとったかのような形を取りました。このことはとても大きな問題だと思います。
―なぜ銓衡委員会が、教職員投票2位の長谷山氏を推薦したのか、知っていますか。
なぜこのような結果になったのか、全くわかりません。